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物語
第29話 真実と絶望






【第29話 真実と絶望】




アニエス「此処が…いつもイオナがいる所だよ」
イルフォンス「此処が…ありがとう、アニエス」


皆がアニエスに案内された場所は、頑丈で大きな扉が待ち構えていた。
それを見て皆が息をのむ。


フレイ(この扉の先に…ネリアが…)
ウォード(ネリア様…ッ)
イルフォンス「アニエス…扉をあけてくれないか?」
アニエス「……」
イルフォンス「?アニエス―」


アニエス「裏切り者…許さないです」
『『?!?!』』


そうアニエスが呟いた瞬間、頑丈な扉が開いた。


アニエス「イオナ…連れてきたよ」
イオナ「ぉ、ぉおおお!?!?キタキタァアアア!!実験ムフフーー♪」


その部屋に入ると、そこには…


フレイ「!?ネリァアッ!!!」
ウォード「ネリア様!!!」


目の前には、台の上に力なく横たわるネリアの姿があった。


アニエス「イオナから聞いたよ…イル…裏切ったって。しかも…アリスタの涙だって…」
イルフォンス「…そう、なら話が早いね」
アニエス「アニエス…イル、仲間だって信じてたのに…ッ!オルグユ様の敵…許さないです!!」
イオナ「うひゃひゃーーーもうこのアマには用はナイヨーーン♪うりゃぁあああ!!」


そうイオナは叫ぶと、台に横たわっているネリアをウォード目掛けて投げ飛ばした。
それを咄嗟にウォードは受け止める。


ウォード「うわッ?!…ッ、ネリア様!しっかりしてください!ネリア様!!」
イオナ「死んでないよ―ン♪ただ、ちょっと実験したんだお♪キャハハ!!」
フレイ「実験?!テメェ……ネリアに何した!!」

???「久しぶりだねお前ら」
???「そんなのどうでもいいでしょ?ねぇ…ベル様♪」
???「Oh…待っていたよハニー達」


そう皆の前に現れたのは、ハイカラで逢ったソルティーとモクマ、ルーネで逢ったグリュエル騎士団のベルザンドとキースだ。


キース「それよりも…こんなにイルフォンスが騙されてくれるとは…少しは頭がいいやつだと思っていたけど、勘違いだったようね?」
イルフォンス「?どう意味だ…?!」
ベルザンド「そのまんまの意味だよハニー?君だけウソを報告したのさ…もうあの時、君が会議にやってきた時は既に話し終わってた。つまり…君だけ騙されるように仕向けたって意味さ」
アニエス「そうだよ…イルにはアリスタの涙とガザフを殺す任務って言ってたけど…全部ウソなの」
ソルティー「そうだよ…だってお互い様だろ?撲達だって騙されてたんだ…騙すのは当然」
キース「あんたの事だからさ〜裏切って仲良くなった流れで、あの不死鳥の女を連れていけば…こっちにやってくるって計画さ。ホント…まんまと計画通りに乗ってくれたわよね〜…お疲れ様、イルフォンスちゃん♪」
イルフォンス「ふふ…ッお互い様、ね。…踊らされていたのは僕の方だったなんて…君たちは馬鹿だと思っていたが、ただのバカじゃなかったんだね。これで分かったよ」
キース「な、ベル様は馬鹿じゃないわよ!!」
ソルティー「キース、話反れるからやめて!;」


りん「ウソ・・ですよ、ね…?!」
アルヴォンド「?どないしたんりんちゃん、そないな顔して…?」


りんはネリアの方を見るなり顔を蒼くし震えてそう言うと、隣にいたアルヴォンドは聞いた。






りん「ネリアさんの…生心力(ヴィオゼーラ)が、見えないん…です…ッ!!」
メル・ガザフ・フィーネ「!??!」
アルヴォンド「なん…やて…ッ?!;」
イルフォンス「ウソだろ…ッ?!」
ウォード「ネリア…さま…ッ?」
フレイ「―……ッ?」


イオナ「ウヒャヒャハハハハハハァアアアアッ!!!!!!言ったでしょ〜〜ぅ?!シ・ン・デ・ナ・イってェエエエ!!!!」



イオナの叫び声が、研究所中に響き渡る。






フレイ『俺は何としてもお前を死から、世界から守ってやる。俺と一緒に来い』



フレイ『俺はお前をそんな奴らの道具にさせたくないんだ』



ネリア『でも私の為に命を懸けて守ってくれてると知った時…私は今までの弱い自分から卒業すると決めたのだ。もう誰も失わないために…いつも誰かに守られているのではなく、誰かを守る私になろうとな』



ネリア『…フレイ、死ぬなんて言わないでくれ。今度は…私がお前を守るから…な』






フレイ「おれ…オレ……ぅ、うぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


フレイはそう叫ぶと、力なく膝をついた。


ベルザンド「これでアリスタの涙を駆除出来た…残りは」
アルヴォンド「――なッ…!?」
イルフォンス「!!アル危な――」

キース「お前もだよイル!!」


そうキースは言うと、手元にある二つの鞭をイルフォンスとアルヴォンドに目掛けて手を出すと、その鞭は伸びて二人の身体を縛り付けてとらえた。
そして自分の所まで引っ張って連れて行くと、イオナに二人を投げ飛ばした。


イルフォンス「ぐぁあッ!!」
アルヴォンド「イタァア!!;」
イオナ「うひゃひゃ〜ナーイス!!」
キース「二人には毒を付けて身動きできないようにしたから…安心してイオナ!」
イルフォンス「く…ホントに、動けない…やッ」
アルヴォンド「呑気に…そないなこと、言うとる場合…ちゃうと思う、ねんけどッ…!;」



ソルティー「次はあいつだね!モクマ!!あの蒼髪の奴を捕まえてイオナに連れて行くぞ!」
モクマ「モキュゥウ!!」

ガザフ「!!そうはさせんッ!!!!」


ガザフはそう言うと、フレイに迫り来るモクマ頭に乗っかるソルティーを庇う様に立ちふさがり、手元の銃を剣に変形させて臨戦態勢に入る。




『邪魔させないよ…ガザフ?』
ガザフ「?!その声は―…がぁああッ!!!」


急にガザフの左横から衝撃波が飛び、それは直撃して壁に叩き付けられ、力なくガザフは倒れた。


メル「!!パパァ!!!」
ガザフ「カハッ…ゲホッ…!!―…オルグユ…テメェッ!!」


ガザフの目の前にいるのは、かつての大親友で、このグリュエル騎士団の創立者であり総指揮官である…フレイ達の敵、オルグユであった。


オルグユ「久しぶりだね〜大親友!!逢いたかったよ〜ッ?どうだい、久しぶりの僕の攻撃は…♪」

ソルティー「イオナ!!それ!」
イオナ「うひゃぁあいキャッチだぼーん!!」
フレイ「ぐぁああッ!!」


投げ飛ばしてきたフレイを楽々にキャッチしたイオナ。
そしてすぐにフレイの腕に針を刺した。
それは身動きが出来ない、即効性のある一時的な毒。
打たれてすぐフレイは身体がしびれて動けなくなり、同じくアルヴォンドとイルフォンスがもたれかかる。



イオナ「うひゃひゃ〜♪これが一番欲しかったんだ〜…ッ!!!宝心種族の力…前は足りなかったらしいけど…これなら良いモノが取れそうだよーーウヒャァアアア!!!」
フレイ「…ッ?!おい…どういう意味だよ…ッ、前って…」
イオナ「ンーーーー、ボクが聞いた話によると〜♪前の天才科学者が全部吸い取ったんだってさ!」



『君たち宝心種族と操霊種族の生心力(ヴィオゼーラ)全てを…ね』


フレイ「―…ッ?!」
アルヴォンド「ぇ…!?」
イルフォンス「――…ッ?!!」

イオナ「そんでェーー十分吸い取った後にズタズタにして殺したって話だってさァアアアア!!怖いよね――――!!!キャハハハハハハハ!!!」

オルグユ「他の種族に比べて、アリスタの涙の生心力(ヴィオゼーラ)の量は雲泥の差…特に宝心種族は良い餌なんだよ…なぁ、ガザフ?」
ガザフ「くッ…お前ッ……一体こんな事して何をするつもりだッ!!沢山の奴らを道具化して…」


そうガザフはオルグユに叫ぶと、オルグユは声高らかに笑い出した。


オルグユ「くく…ッ、特別に教えてやろうかァ?!あの脆弱な種族の生心力(ヴィオゼーラ)をとって…?何をしたい?!―…決まってるじゃないか…ッ!この世界を失くすんだよッ!!この!!!!腐った世界をリセットするんだッ!!」
りん「リセット…?!」

オルグユ「そうさ〜意姿種族とヒュニマの嬢ちゃん?この腐った世界を崩すには、まず仕組みを壊さなきゃいけない。アリスタの涙の崩壊…そして、この地と天を隔てる…邪魔な壁を壊すのさ…!!」
ウォード「…まさかッ…?!」
オルグユ「何故…地から天は見えない?なぜ天から地は見えると思う?そう…女神アリスタが、地は天を恐れぬよう…また天は地を忘れぬよう…お互いに自分の罪を償うという意味を込めて作ったワケの分からない、天と地の狭間に膜…ヴィオゼリンクを張ったのさ!!なんの意味も持たないと思うだろう?それは違う!!その膜はろ過の役目をしているんだ」
イオナ「そうだよーーー空気中に舞う生心力(ヴィオゼーラ)はぁ〜悪性化して蝕死力(ブラジェーラ)となってポーンって上昇した後、ヴィオゼリンクを通してぇ〜綺麗さっぱり!綺麗な生心力(ヴィオゼーラ)が天空世界(スカイピア)に送られるんだーー!逆もまた同じだよー!」

オルグユ「つまりそれを失くすと…?」
フィーネ「…この星全体の生心力(ヴィオゼーラ)が蝕死力(ブラジェーラ)によって浸食されて…星が滅びるッ…」
オルグユ「そういうことさ!でもそのヴィオゼリンクを破壊するには大量の生心力(ヴィオゼーラ)が必要…だから」
ガザフ「……コニスを…スティルを…ガゼルを、アイラを……メイアを…ルーシィをッ、アイツらを犠牲にしたっていうのかッ!!!!」
オルグユ「革命に犠牲は付き物…だろ?」
ガザフ「貴様ァアアアアアアアアアッ!!!!」
オルグユ「おっと…身体が毒で動けないだろ…親友?無様に見届けるんだな!!」
ガザフ「くッ…!クソッ…!!;」
オルグユ「イオナ、皆に見せるのだ…兵器の全貌を!!」

イオナ「ほいほいさーーー!!」


そう言うと、イオナは手元にある小さな箱型にあるボタンを押すと、天井が開き、そしてフレイたちの背後に3メートルほどの高さのある台座に大きな筒状のような兵器が現れてきた。



イオナ「これが先代の天才科学者兼発明家が考えた素晴らしき作品…【心魔砲】(アストランタ)!だよぉおおおん!」
フレイ「ぅ…ッ?!」
アルヴォンド「うぁ…ッ、なんや…息が…ッ…!!」
イルフォンス「くぅッ…まさか…もうッ…?!」
イオナ「うっひゃぁああああ!!もう生心力(ヴィオゼーラ)吸い取ってるのぉおお?!もうよくばりちゃんだナーー…【心魔砲】(アストランタ)ちゃんは♪」

りん「!!危険です…あれを何とかして壊さないと―」

ベルザンド「そうはさせないよハニー?美しいバラにはトゲがある…う〜ん♪ローズルウィン!!」


ベルザンドはそう唱えると出てきたのは、トゲに包まれたバラのツルで造られた牢獄。
その中に、りん、メル、フィーネ、ウォード、ネリアが入れられた。
身動きが出来なくなった5人。


ベルザンド「その牢獄内では心術が使えないのさ〜可愛いハニー達?」
キース「きゃぁああああああああああ!!ベル様かっこいいですぅうう!!!!///」
フィーネ「くぅ…ッ、フレイちゃん!!イルちゃん、アルちゃんッ!!!!」

フレイ「うぁあ…ァアアアッ!!!!!」
アルヴォンド「ァアアアアアアアア!!!!」
イルフォンス「ぐぅ…ッ、このままじゃッ……」
イオナ「ウヒャハハハハハハハハ!!!!!!もっとぉ〜もっと吸い取れェエエエエエ!!!!」


フレイとアルヴォンドとイルフォンスの身体から淡いオレンジ色をした生心力(ヴィオゼーラ)が放出され、それは【心魔砲】(アストランタ)の台座の部分に埋め込まれている丸い水晶へと吸い込まれていく。
早くどうにかしなければ…、そう思っていても何もできない自分に皆苛立っていた。

すると―…


【ビーービーーー!!フジュンブツ コンニュウ タダチニ アストランタ ハツドウ カイシ スル】

イオナ「ウヒィイイヒャァアア!?!??;な、ナニナニ何が起こったノン?!?!?;」


急に【心魔砲】(アストランタ)から警告音が鳴り響き、水晶が透明な白の色から赤に変わりはじめた。
そして先ほどのアナウンスが流れたんだ。


オルグユ「不純物…?そんなのあり得るはずが…?!」
ガザフ「……まさか…ッ?!」

アナウンスが流れた後、生心力(ヴィオゼーラ)の吸収を解除され、なんとか解放されたアルヴォンドとイルフォンスとフレイはぐったりと床に倒れる。


イルフォンス「…なんとか」
アルヴォンド「助かったで…ッ、な…フレイくん?」
フレイ「…………」
アルヴォンド「?ふ、フレイく――」




【ハツドウカイシ モクヒョウ ジョウクウ ヴィオゼリンク】




ビィイイイイイイイイイイイイ!!!!!!



イオナ「アヒャヒャハハッハハハハハ!!!!まぁイッカーーー!!いっけぇええええええええ【心魔砲】(アストランタ)!!!」


そのイオナの発言が合図のように、【心魔砲】(アストランタ)は発動し遥か上空のヴィオゼリンクに向かって発射した。
まばゆい光の放射が放たれた瞬間、空にひびが出来る。

そしてひびはあっという間に全体に広がると、窓ガラスが割れるような音が響き渡り、ヴィオゼリンクは砂のように消え去ってしまう。
それを…ノエルのハーフエルフの皆、メルの祖父、ミニルとエリア等の地上世界(アスピア)中、シエル王国の…ローリアンス、天空世界(スカイピア)中が…そして、この一部始終を見ていたフレイたちも黙って見つめる事しかできなかった。



オルグユ「はは…ッ!!ハハハハハ!!!見ろ!!アレが天空世界だ!!ヴィオゼリンクは消滅できたんだ!!は…ハハハハハ!!!」
りん「あれが…天空世界(スカイピア)…?!」
フィーネ「あんなに近くにあるなんて…」
メル「おっきぃ…!」
ガザフ「オルグユ…テメェ…ッ」

オルグユ「おや〜?ガザフ……これは僕のせいじゃない。そもそもお前らは僕たちグリュエル騎士団が結成された理由を大きく勘違いしているようだから…ついでに言っておくよ」
ガザフ「な…ッ!?お前はこの世界が嫌いになって…国王にウソをついて結成したんじゃな―」
オルグユ「ちがう…グリュエル騎士団は、国王の命令の基に結成されたんだ」
フィーネ「なんですって?!」
オルグユ「そうさ…国王はこの仕組みが嫌いで、この世界を終わらせる為に特別部隊―グリュエル騎士団が結成されたんだ。この全ては国王の命令なの…さ♪…という事で、僕たちはこれから城に戻らないと…・じゃあ、ガザフ…そして、哀れなアリスタの涙さ〜ん?ハハハハハハハ!!」
イオナ「バイビャ―――!!実験面白かったよ〜ん♪」



そう言った後、グリュエル騎士団は目の前でワープし消えていった。
何もかもを残して…


ベルザンドが出した牢獄が同時に消えて身動きが取れるようになった。


フィーネ「!!よし…牢獄が消えたわね…!ウォード君しっかりなさい!!ネリアちゃんはまだ死んだわけじゃないでしょ!?」

フィーネはそう言うと、座り込んで未だに目を覚まさない主の顔を見つめて呆然としているウォードの肩を掴んで揺らして目を覚まそうとする。


ウォード「ふぃ、フィーネさん…私…わたしはッ…」
フィーネ「悲しい気持ちは分かるわ…でもまだ生きてる!!もしかしたら助かる可能性があるわ!!まだ皆生きてるんだから…気をしっかり持つのよ!!あなたは守護騎士…彼女を救うのが役目でしょ!!?」
ウォード「―…ッ!!」
フィーネ「生心力(ヴィオゼーラ)が無くても生きてる…もしかしたら意識はあるのかもしれない。だから…貴方の悲しい顔を見たら…答えは分かるわよね?」
ウォード「はいッ、ごめんなさい…整理が、つかなくて…冷静な判断が出来かねていました…ッ」


メル「パパ!!大丈夫!?!;」
ガザフ「ぁあ…もう、毒はなくなったから…平気だよ」
メル「よかった…」

ウォードとフィーネ、メル&ガザフが混乱の後の会話をしていた時…

りん「い…いやぁああああああああああああああ!!!!」
『『?!?!?!?』』

りんの叫び声が聞こえて、聞こえた方を見るとそこには蒼白し目を見開いてへたりと座り込むりんの姿がいた。


アルヴォンド「フレイくんしっかりせぃ!!フレイ君!!!!」
イルフォンス「どういうことなんだい…アニマで回復をかけても全然ピクリとも動かないんだ」

フィーネ「どうしたのりんちゃん?!!」
りん「いや…いやぁ…ッ!!」
フィーネ「落ち着きなさい!ゆっくり話して…」
りん「フレイさんの生心力(ヴィオゼーラ)が…怖い…んですッ…!!」
ウォード「?!怖い…?それはどういう意味…」
りん「黒いんです…オレンジ色の生心力(ヴィオゼーラ)が…」

ガザフ「アルヴォンド!!イルフォンス!!!今すぐフレイから離れるんだッ!!!」
アルヴォンド「はッ?!何言うとんのおっさ――うわぁ!?」
イルフォンス「!!まさか――ッ…!」


イルフォンスはガザフの言うとおりにし、アルヴォンドを抱えてりん達のいる場所にバックステップし、フレイから5メートル距離を置いた。
すると、フレイの身体から黒い霧のようなものが現れ始めたのだ。
それはどこかで見た事があるような光景だった…それは、


アルヴォンド「!!あれは俺が裏切って…フレイ君を殺そうとした時に起こった時と同じや!!」
イルフォンス「本当かい?!」
ウォード「あれは一体…?!!」


ガザフ「あれは…宝心種族特有なもので、一見役に立つ能力を使う素晴らしい能力に見える。だが、逆にそれは…世界を滅ぼす脅威にもなるんだ」
フィーネ「!!まさか…」
ガザフ「気持ちが奈落の底に落ち…生心力(ヴィオゼーラ)が急激に落ちた瞬間、生心力(ヴィオゼーラ)を生み出す宝石が異変を起こし…暴走すると聞いたことがある」
イルフォンス「その異変こそが…生心力(ヴィオゼーラ)から…蝕死力(ブラジェーラ)を生む機能になったと…いうことで、あってるかな?」
ガザフ「………正解、だ…ッ」
アルヴォンド「!【心魔砲】(アストランタ)の言っていた不純物ってこの事か!!」
メル「パパ!!どうやったらフレイ兄ちゃんを元に戻せるの!?!?;」


そう騒ぐ皆を余所に、蝕死力(ブラジェーラ)に犯されたフレイが立ち上がってこちらを見始めた。
フレイの額にある宝石が赤から黒に変化しているのだ。
それは、蝕死力(ブラジェーラ)に犯されているサインだという何よりの証拠である。


アルヴォンド「おいおい…なんかこっちに近づいて来とるでぇ!?!?;」
フィーネ「皆構えて!!」
メル「え!?フレイ兄ちゃんと戦うの嫌だよぉ!!」
イルフォンス「戦わないと殺される気がする…フレイ君を傷付けない程度に戦うんだ!いいね!?」
ウォード「ふ…あの時と逆の立場か…!お返しだ…今度は私がフレイの目を覚まさせてやる!!」


そう話す皆のもとに、フレイが剣を持って睨んでくる。
皆も続いて、手に武器を持ち、りんも我を取り戻して立ち上がって臨戦態勢に入った。







そう、




皆…自分の身に何が起こっているのかも知りもせずに…







30話に続く…




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