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物語
第25話 再開と帰還


どうして…俺たちは出会ってしまったんやろ…









第25話 再開と帰還








イルフォンス「ガイア・ハウル!!」


強い空気砲がアルヴォンドの体をたたきつける。
その衝撃で吹き飛ばされ、フレイの体にアルヴォンドの体が思い切りぶつかった。


フレイ「ぐふっ?!;」

―ドサァッ…


そしてそのままフレイはアルヴォンドの背中に下敷きになり倒れた。


フレイ「痛〜ッ…!;アル大丈夫か?!」


フレイは何とか立ち上がり、アルヴォンドの体を起こして揺さぶる。
だが、アルは目を見開いて呆然としていた。
それはまるで、少しずつ記憶を取り戻した時の…あの頃ののフレイによく似ていると、フレイ自身は気付く。


フレイ「アル…お前もしかして、記憶を失ってたのか…?」

イルフォンス「君の言う通り…僕が記憶を消す術を掛けたのさ。でも記憶を消したのは僕に関することだけ…再開した時に記憶が戻るように設定したんだ」


そのイルフォンスの言葉を聞いたりんは、あごに手を当ててはこう話し出した。


りん「なるほど…なんでアルヴォンドさんが手を握られるのを嫌がるのか分かりました。貴方がアルヴォンドさんの手を握っても嫌がらない理由も」
ネリア「!そうだったのか?!」
りん「はい。私…それがずっと疑問でした。でもそれは…イルフォンスさん、貴方がそういう風にするように設定したからではないですか?イルフォンスさんがアルヴォンドさんの手を握ったら記憶が戻るように設定したから。そして再開した貴方はアルヴォンドさんの手を握り、術を解除した…違いますか?」
イルフォンス「ほう…君すごいね。正解さ、術を解除したはずなんだけど…アルは記憶を取り戻さなかった。戻るのに多少誤差が生じるみたいだね…この術は」


そう言うと、イルフォンスはアルヴォンドの近くに行こうと歩み始めた。


フレイ「!!てめぇ…アルヴォンドを殺す気か!?」


そうフレイは言うと、ネリアは察するようにフレイとアルヴォンドの前に立ち塞がり守る体制になる。


イルフォンス「ははッ…!安心して、僕は君たちの敵になるつもりは無いし戦うつもりも無いよ」
メル「敵…なのに、敵じゃない?どういうこと?」
イルフォンス「僕は君たちの“味方”さ」
りん「ぇ?!」


皆驚いた表情をみせた。


イルフォンス「僕が此処にいる理由はね、任務としてオリジンが眠るこの遺跡を破壊し、契約出来ないようにしてくれと言われたんだ」
フレイ「!」
イルフォンス「あいつらの狙いは、世界騎士総指揮官のガザフとアリスタの涙を殺すこと。つまり、ガザフさんを治すために必要なオリジンは必要ないから遺跡を壊して契約できないようにしろってことだよね。酷い話だよ…まぁ壊す前に僕がさっき契約結んだけどね。これでやつらの計画は終わりさ」
ネリア「おまえ…グリュエル騎士団に相当な恨みを持ってるんだな…何があったんだ?」


そう質問をネリアがイルフォンスに投げた時、上がっていた口角が下がり、雰囲気が変わった。


イルフォンス「この様子だと、アルは昔のことを君たちに話していないようだね」
アルヴォンド「……」
イルフォンス「この機会だ…さらっと説明するよ。今から12年前…僕とアル、操霊種族が住む孤島―アウレラ島がグリュエル騎士団に襲われたんだ」

フレイ(12年前って…おれが記憶を失った5歳の時と同じだ!)
ネリア(フレイ…)

イルフォンス「僕とアルは母さんと父さんの助けがあって、なんとか僕はショックで意識を失ったアルを背負って外れの森に逃げることが出来たんだ。そこで僕は父さんと母さん、種族のみんなの仇を取るためにグリュエル騎士団に入って彼らを根絶やしにしようと考えてね。アルにも迷惑掛けれないと思って僕に関する記憶を消す術を掛けたんだ。そのことはウンディーネたちに口止めをさせてもらったよ…ね、“君たち”♪」


その合図と共にアルヴォンドとフレイの周りにルナ以外の精霊も現れる。


シルフ「ごめん…アル」
イフリート「俺…イルフォンスを止めれなかった。俺たちもあの時、仲間を…主人を殺されてグリュエル騎士団を憎んでるから…ッ」
ウンディーネ「ごめんなさい…」
アルヴォンド「…気にせんでぇえよ」


そう言うと、アルヴォンドは自分自身で立ち上がり、イルフォンスに近付いた。


アルヴォンド「そやな…すべて思い出した。久しぶりや、イル」
イルフォンス「思い出してくれて嬉しいよ…」


そう言うと、お互い笑みを浮かべた。


りん「ところで…グリュエル騎士団に入ってなにか変わったんですか?」
イルフォンス「奴は僕の事を孤児だと思って思い込んですんなり入団してくれたよ。そして今から4年前…僕が15の時に、僕の故郷を襲った前のグリュエル騎士団を5人を殺したよ…跡形も無いくらいにね」
メル「ひ…ッ!;」
アルヴォンド「イル…お前…ッ」

イルフォンス「爽快だったね…あいつらこう言うんだ。『命令されたからやっただけだ』『生きてるのが悪い』『滅んで正解だ』『死んで当然だ』ってね…ホント、反吐が出たよ。俺たちアリスタの涙はこの世界の平和を保とうと必死に今までやってきたのに…。それを否定されてどう思う?俺たちは今までやってきた事は無駄だったのかって…ね。悲しくなったし悔しかったよ」
フレイ「イルフォンス…」
イルフォンス「でも、僕たちアリスタの涙を襲うのはまだ理由が分かるさ。でもコレだけで終わらず、ムカつくからという理由だけで無関係に種族を襲ったり、終いには道具化?ふざけるな!!」


そう叫ぶと、思いっきりオリジンの祭壇を殴るイルフォンス。


イルフォンス「オルグユの奴の計画が何なのか全く見当がつかないよ」
ネリア「お前らグリュエル騎士団でもこの計画の根本は分からないのか?」
イルフォンス「そうさ。まぁ、僕以外の奴らはみんな殺すのが好きだったりするキチガイな奴らばっかだからね…人を殺せたり実験したり慕ったりするのがただ好きなだけの集まりさ。全てを握っているのはあのオルグユ自身だけ…全く読めないよアイツの事は」
りん「イルフォンスさん…苦労したんですね」
イルフォンス「苦労?そんなの、この世界と弟とアリスタの涙を失うことよりも軽いことさ。俺はもうこのグリュエル騎士団にいる理由はもうなくなったよ。演技はもうこれでお終い。これからは君たちの味方さ。出来る全ての事を協力する―…」


―ギュッ…


イルフォンスは驚いた。
なぜなら、弟のアルヴォンドが彼を優しく抱きしめたんだから。
呆然としていると、


アルヴォンド「ごめんな…辛かったやろ…ッ?ごめんな…んで、ありがとう…」
イルフォンス「アル…。ずっと心配だった、死んでいないかって…ね。でも何年か1回、ルナたちと逢ってアルの様子を聴かせてもらってたんだ。僕は君がいたから此処までこれた。辛くなんか無いよ…今まで一人にさせてごめんね愛しい弟。これからは共に生きよう」
アルヴォンド「ぁあ…自分らは二人でひとつや!もう離さへんで!!」


そう言い合うと、アルヴォンドはふわりと笑顔をこぼす。


りん「ぁ…」


そこでりんは気付く。


ネリア「?どうしたのだ…りん?」
りん「そういう意味だったんですね」
フレイ「何がだ?」
りん「私…アルヴォンドさんと再会してからずっと、彼の生心力(ヴィオゼーラ)が揺れ動いていたので、私はてっきりまた彼が嘘をついてるんじゃないかと思って、あまり信用できなかったんです。また裏切るんじゃないかって」
ネリア「通りで…りんがアルヴォンドに対しての態度がそっけないと思っていたが…そういう事か」
りん「今イルフォンスさんが双子の兄だと記憶を取り戻した瞬間、アルヴォンドさんの生心力(ヴィオゼーラ)が揺れ動かなくなったんです。もしかすると、アルヴォンドさんはイルフォンスさんと逢ってから彼を思い出しそうな気がして、それでイライラしてて精霊たちに八つ当たりしちゃったりしたその心情が、生心力(ヴィオゼーラ)に表れていたんではないかと思うんです」


その会話を聞いていたアルヴォンドは驚いた表情をして、


アルヴォンド「りんちゃん…ホンマに推理小説家になったほうがええんとちゃうか?全部あたっとるんやけど…ッ」
セルシウス「そうなのかアル!なんで言わないんだ!!」
シャドウ「しかも八つ当たりとかヒデェぞ!!」
アルヴォンド「んなこと言われてもしゃあないやろが!!頭ん中が痒いようななんかムカムカしよってん!八つ当たりするなっていうのが無理なや!」


またアルヴォンドと精霊が喧嘩をしている中、イルフォンスはりんに近付いて笑みをこぼすと、


イルフォンス「意姿種族って噂には聞いていたけど、本当に生心力(ヴィオゼーラ)が見えるんだね。僕は聞いた時とても素晴らしい種族だと思って、一度逢ってみたかったんだ。こうして逢えて光栄だよ」
りん「い、いいえ…私はハーフですから…その」
イルフォンス「ハーフなんて関係ないさ、意姿種族の血を受け継いでいる素晴らしい種族だよ」
りん「!…そう言って貰えて嬉しいです、ありがとうございます」

メル「ねぇ、イルフォンスお兄ちゃん!その仮面邪魔だからもうはずしたら?」
イルフォンス「お、君はガザフさんの娘でハーフエルフのメルちゃんだね?そうだね…もう隠すつもりもないし、君の言うとおり、今日を以ってこの仮面とはさよならするよ」


そう言うと、イルフォンスは仮面を取り外し、それを地面に落とすと、仮面を足で思い切り潰して粉々にした。

そして前を向いてみんなの顔を見つめると、



イルフォンス「改めて、僕は本日を以ってグリュエル騎士団を脱退し、君たちの仲間になりたいと思ってる。このオリジンの力を使ってガザフさんを呪術から解放するために向かおう」

フレイ「おう、よろしくなイル!」
ネリア「頼もしい仲間が増えたな…よろしく」
りん「はい!ガザフさんを助けに行きましょう!」
メル「パパを助けに!」
アルヴォンド「せやな…おっちゃんには色々世話になったさかい…死なさせへんで!」


そうお互い言い合うと、ガザフを呪術から解法するために、皆は歩み始めた。







―…近付いてくる闇を知らずに、















―…ザクッ




???「くくく…うひゃぁああ!!さぁ〜て、ディナーのはじまりだよ〜ん♪うはひゃ!!」












26話に続く




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