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物語
第23話 蒼と黒の狭間



フレイ「アルヴォンド…なのか…?!」

アルヴォンド「なんやフレイ、ネリアちゃん?俺のように見えへんかいな?」

ネリア「アルヴォンド!!」


目の前には8大精霊を引き連れた仲間の姿が。


町の男1「あれってもしかして…」
町の女1「間違いないわ…あの8大精霊よ…!ということはあの人達…」
町の老女1「アリスタの涙様御一行…?!」


フレイ・ネリア・アルヴォンドがアリスタの涙であることがバレてしまったことに気付いたネリア。


ネリア(もしかして、アリスタの涙って世界的に知られている常識なのだな…)


ぼんやりと考え込んでいると、隣にいたはずのフレイがいないことに気付いた。


ネリア「?!ふ、フレイ!!」


アルヴォンドに向かって歩み始めたフレイ。


フレイ「アル…お前…ッ!!」
ネリア(ま、まさか殴る気じゃ…?!;)
   「や、やめるのだフレイ!そんな事をしても何も―」


ネリアの予感は的中し、フレイは左手を強く握り締めてアルヴォンドに殴りかかった。


―が、



フレイ「あれ…?!;」



フレイの右横にアルヴォンドの姿がいた。
そしてスローモーションのように彼は力なく地面に倒れていった。
思い切り空振ったフレイは、体制を整いつつ、後ろを振り向いて倒れたアルヴォンドを見つめた。


フレイ「あ、アル?!おい大丈夫かよ!!」
ネリア「!そうか…たしかあの術は生心力(ヴィオゼーラ)と体力の消耗が激しいんだったな!;」
アルヴォンド「はぁ…っ、アカンな…使い慣れてないから…なッ…はは;」
シルフ「ばーか!お前が遠まわしにあんな酷い事した罰が当たったんだよ!!」
セルシウス「馬鹿者。してはいかぬとあれ程言ったのにやりおって!!」
アルヴォンド「痛いイタ!!;やめてぇ〜やぁ〜…堪忍したって…あれ以外方法が無かってん…ッ」



フレイ「…?何の…話だ?」
ネリア「!まさかお主…!」
フレイ「ぇ、何?!オレ話に付いていけてない!;」


アルヴォンドはうつ伏せから仰向けになり、フレイとネリアを見つめてはこう話しだした。


アルヴォンド「実はな…あれ全て嘘やねん」
フレイ「は?」
ネリア「…やはり…な」











第23話  蒼と黒の狭間












りん「バカ!!バカバカバカァア!!!」

―ドスッドスッ

フレイ「りん…」
りん「どうしてあんなことするんです!!酷いですもうバカアホエロナンパ師眼鏡ェエエエエ!!」
ネリア「あいつエロいのか」
フレイ「いや、突っ込む所違うだろ!;おい、りん…そこまでにしてやれよ」
りん「ふぇ…?」
フレイ「アルのやつ魂抜けかけてるから…りんがアルの腹を何度も殴るから…よ;」
りん「きゃぁああああああ!!;アルヴォンドさぁああああん!!!!;」






場所は変わり、倒れて身動きが取れないアルを、りんが手術を行っている部屋の右隣に移動して寝かせた。
そしてそれから3時間後…今に至る。


フレイ「なるほどな…あの行動は、ネリアが本当のことを話すように仕向ける為の演技だったってわけか」
アルヴォンド「せやんなぁ…このままだとネリアちゃんは自分の種族のこととか話さないかもしれへんって思ってな…あと、フレイくんの記憶を呼び起こすきっかけにもなるかなーって思ってやってみたんやけど〜…はは…その、酷い事してホンマにごめんなさい」
りん「バカ」
アルヴォンド「ごめんなさい;」
ネリア「そうなのか…お前にはいらぬ負担を負わせてしまったようだな」
アルヴォンド「ネリアちゃんの過去の話のことは、あの後シルフに後を追わせて、こっそり聞かせてもろうたで…ホンマに申し訳ない;」
ネリア「気にするな、その道お前にはいつも助けられてしまってる…ありがとう」
フレイ「どうしてアルヴォンドは一人でそう背負い込むんだよ!ったく…ありがとう」
アルヴォンド「ふぇ…自分ら…ホンマに優しいのぅ…ッ!」


涙をにじませているアルヴォンドの姿を見て笑うネリアとフレイの姿をみて、一人りんだけは表情を崩さなかった。


りん(私はまだ許しません。だって…あなたの生心力(ヴィオゼーラ)は…まだ揺れ動いてますから)










アルヴォンド「そうか…ガザフのおっちゃんそないな事に…」
フレイ「これから助ける方法探しに行こうと思って――」

メル「フレイお兄ちゃん!」


急に部屋に入ってきたメルに、皆驚いた。


フレイ「め、メル!どうしたんだそんなに慌てて!!」
メル「パパが助かる方法が分かったの!」
ネリア「本当かメル!」
りん「誰かに教えてもらったのですか?」
メル「うん!」


すると、部屋の中に入ってきたのは、あの宿屋のおじさんとおばさんだった。


フレイ「おじさんとおばさん…!」
メル「ほら!話してよ♪」
おばさん「…治すためには、あんたの力が必要なのさ」


おばさんが指差すその先には…


フレイ「ぇ…?」
アルヴォンド「?!お…俺…?」
おじさん「そうだお前だよ!精霊を扱うおまえさん!」
ネリア「そうなのか…?」
アルヴォンド「ぇ、そうなん“自分ら”?」


するとアルヴォンドの周りに8大精霊が現れ口をそろえてこう言った。


精霊「知らない」
アルヴォンド「オイコラァア!知らんのかい!!;」
おばさん「そりゃ知るわけ無いさ。エルフだけ伝わる治し方で、尚且つ一回も使われたことの無い術だから治るかどうかの保障もないけどね」
りん「それで治し方は一体どんな方法なんですか…?」
おばさん「言い伝えによると、此処から南の方角にある森の中には全ての精霊を統べる精霊オリジン…まぁ所謂ボスって所かしらね。その精霊が眠っているのさ」
おじさん「そのオリジンと8大精霊の力を使ってその仲間に力を注ぎ込むと「ブラッディソード」は壊滅し治るとされているそうだ」

その宿屋の主の話を聞いて、アルヴォンドは目を見開いて驚いた。

アルヴォンド「!精霊オリジンやて?!嘘やろ…俺その森に行ってみたけどおらんかったで!;」
ルナ「ぁ〜仕方ないわ。あの人いつも出かけてるから;散歩するのが好きなのよね;」
イフリート「あとどこでも寝るし」
ヴォルト「神出鬼没…」
アルヴォンド「な、何でそれをあの時言わんかったんや!!;」
シルフ「だってお前怒ってて俺たちの話聞こうともしなかったじゃんかよ」
セルシウス「何回も話したんだが「うるさい!」「黙れボケェ!」って言ってな…酷い話だ」
ウンディーネ「アルちゃんが悪いのよ?」
シャドウ「アルのばーか!!」
アルヴォンド「だぁーーーー!!もううるさいわボケェ!!;」


ぎゃぁぎゃぁ騒ぐ精霊とアルヴォンドを無視し、フレイは二人に話しかけた。


フレイ「ありがとうおじさん、おばさん!」
おじさん「ふん、この愚人が」
おばさん「まぁ貴方;こっちこそ…この街を、エルフを助けてくれてありがとね君たち」
りん「いえ…私こそ生意気なこと言ってごめんなさい」
ネリア「ここの街の人達優しくて私は好きだぞ!」
おじさん「ふ…馬鹿者が。ほら…コレあげるよ」


おじさんの手には手作りの弁当が人数分。


フレイ「うぇ?!い、いいのか!!」
おじさん「また何かあったら来なさい。今度は仲間全員でな…」
フレイ「へへ…ッ、ありがとうおじさん!んじゃ、今日はゆっくり休んで、明日早速その森に行くぞみんな!」


そのフレイの言葉を合図に、フレイは貰った弁当を貪り食べているのを見て、笑いが起こった。








サクッ…サクッ…





白い世界に塗られた森の中に、一人たたずむ人影。
それは、あのグリュエル騎士団の仮面の男、イルフォンス。


イルフォンス「やぁ…オリジン、久しぶりだね」


そう呟く彼の目線の先には、オリジンが眠っているその遺跡。
彼はそう言うと、口元を歪ませ、そしてゆっくりとその足を前に進み、遺跡の中へと足を踏み入れた。







24話に続く




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あきゅろす。
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