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物語
第17話 天空世界(スカイピア)と新国王








-パチパチ…

日は暮れ、皆は野営の準備が整い終わり、そして晩御飯を食しては、たき火を中心に囲むように座っていた。
フレイはネリアの希望で肩に背中を預けるような形でフレイは座っている。
そんなフレイを、ネリアは悲しい目で見つめていた。


ガザフ「では、話をしよう。これからの先、どうするのか、話し合うことで状況を整理していくことが大切だ。異議を唱える者は?」


ガザフの問いに、皆は沈黙することで意義はないという事を示す。
それを察知したガザフは、


ガザフ「わかった。まずはどこから話そうか…沢山ありすぎてもう何が―」
ネリア「私から話そう」
ウォード「!ネリア様!!」
ネリア「いいのだ、もう私はすべてを話すことを決めたのだ。それに、お前も知りたいのであろう?」


ネリアの最後の言葉を聞いた瞬間、ウォードは静かになり、聞く体制へとなった。
それを確認したネリアは、フレイの方へと向くと


ネリア「フレイ、お前も聞いてほしい」
フレイ「ネリア…うん、聞いてるよ」
ネリア「ふ…ありがとう、フレイ」


フレイはネリアの方へと、光のうつさない瞳を向けてそう言うと、ネリアは微笑んでから前へと顔を映した。


ネリア「そうだな…では、話を始める」












第17話 天空世界(スカイピア)と新国王









ネリア「私は1年前までずっと、天空神フェニックス…私を護る為に作り上げた国ガーディアンに住んでいたのだ」
りん「護るための国ガーディアン?」
ネリア「そこに私たち天空神を護る為の使命を与えられた種族たち、それを守護騎士と呼ぶ者たちがおるのだ」
ガザフ「なるほど…守護騎士はてっきりウォードだけなのかと思ったが」
ウォード「私たち守護騎士は、隼・龍・梟の3種族でネリア様のフェニックス族を護っているのだ」
ネリア「私は祭壇でいつも、毎日、一日も欠かさず歌を歌っているのだ」
フィーネ「歌?」
ウォード「言っただろ、ネリア様は歌を歌うことで世界の安定を平和を保っている、と」
ネリア「歌には沢山種類があるのだが、いつも歌っているのは「鎮生歌」(アルタ)と言って、星全体に定着出来ずに漂っている生心力(ヴィオゼーラ)があるのだが、それらをちゃんと定着させるために歌う歌なのだ。この歌があるおかげで、世界は安定と平和を保っている」
ガザフ「もしその歌を歌わなくなってしまうとどうなるんだ?」
ネリア「生心力は自然とあらゆるものから少しずつ抜けてしまうのだ。鎮生歌を歌わなくなっていると、あらゆるものから抜けていった生心力はこの星を永遠に彷徨い続け、長く放置してしまうと、生心力は毒性化して世界にあらゆるものに影響をもたらしてしまう…これを蝕死力(ブラジェーラ)という」
りん「…まさか…!」
ネリア「では、本題にいく」



**********




私は1年前、いつものように鎮生歌を歌っていた時だった。


ウォード『ネリア様!ご唱歌中申し訳ありませんが…一緒に逃げましょう!』


急に祭壇に入ってきたウォードがすごく焦った様子で来たかと思うと、私の腕をつかんでどこかへ逃げようとしていたのだ。


ネリア『な、なにをするのだ!まだ鎮生歌を歌い終わっては―』
ウォード『シエル軍がガーディアンを襲撃にやってきたのです!!』
ネリア『な、シエル軍だと?!」』



ガザフ「シエル軍?」
ウォード「シエル軍とは、天空世界首都シエルの軍の事だ。こちらで言う世界騎士のようなものだ。シエルは国自体が天空人を支援しており、ガーディアンを襲う事は過去の歴史で一度もなかった。訪問しに来ては雑談したり貢物を持ってきたりなどはあるのだが…軍200人がガーディアンを襲撃してきたのだ」
りん「なんでまたそんな事…!」
ネリア「実は襲撃してくるその半年前に、シエル国王が亡くなってしまってな、それから新しく息子の王子が国王になったのだ」
フィーネ「なるほど…襲撃を指示したのはその新国王ってことなのね」





ネリア『なぜなのだ…シエルはいったい何を考えて!』
ウォード『新国王が何を企んでいるのかは分かりません。今は一刻も早く国王側に貴方を渡させない事です!!』
ネリア『!狙いは私なのか?!』
ウォード『多分、貴方を利用しようとしてのかもしれません』


祭壇から外に出る為に天井に穴をあけて飛んで外へと出ようとしたところに、


???「逃げても無駄だよ。完全に包囲された」


天井を抜けた先に待ち受けていたモノ、それは


???『初めましてですね…天空神さま。挨拶が遅れました、私はシエル新国王のローリアンスと申します、貴方を迎えに来ました…さぁ、私と一緒に城へ』


ローリアンス・シエル新国王自ら現れたのだ。
ネリアの目の前には、ローリアンス国王の後ろにざっと50人程はいる数のシエル軍がいた。


ネリア『ローリアンス貴様…!なぜ襲撃した!普通に話したいのであればこんな事をせずともいいではないか!』
ローリアンス『私は話に来たんじゃない。貴方を捕まえる為に来たのです』
ネリア『!!」』
ウォード『目的はなんだ貴様』


ウォードはネリアの前に出て護るようにしてそう言うと、ローリアンスは目を細めて微笑んだ。


ローリアンス『それを君たちに教える必要はない。さて…』
ウォード『?!な、動け、ない…!ぐぅ…!!』
ネリア『な、か、体が勝手に・・動いて…ッ!』
ローリアンス『呪心術“マリオネット”…どうだい技の味は?』


ネリアは心術により勝手に体が動き出し、ローリアンスの前へと動かされ、そしてローリアンスは目の前のネリアに掌を見せると、


ローリアンス『アウト』
ネリア『―…ッ!?』

―ガクンッ


ローリアンスはそう呟いたかと思うと、ネリアは意識を失い倒れるのを彼は左腕で受け止めそして肩にネリアを担いだ。


ウォード『!!ネリア様!?貴様…ネリア様に何をした!!』
ローリアンス『なぁに…ただ眠らせただけの事。さて、君達皆も城に来てもらうよ』








ウォード「その後おれも意識を失って、気付いたら地下の牢獄にいた」
りん「その新国王の方の狙いは何なんでしょうね?」
ネリア「今になっても分からない…ただ今言えることは」


ネリア「私の心術を使えなくする為であろうな」
ガザフ「…というと?」
ネリア「次から話すことはウォードも知らない私だけの話だ。此処からは惨い話になる…心して聞いてくれ」



ネリアの声が少し震えているのを、皆は見逃さなかった。
そして、ネリアの口から告げられるもの・・

それは残酷なモノであった。



18話に続く→






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あきゅろす。
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