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物語
第16話 代償



アルヴォンド「…不治の身体…か…はッははははは!!おもろいな〜そんな特殊な身体になっとんたんかいなフェニックスって!」
ネリア「私がいる限り、フレイは…皆は死なせない。私が盾となり護っていくのだからな」
ウォード「ネリア…さま…!」
フレイ「ネリア…護る…おれを・・?」






第16話 代償






ガザフ「そうだ…俺の息子は必ず護る。約束したからな…こいつの両親と」
りん「わたしは…もう誰も死なせはしません」
フィーネ「お姉さんも大賛成よ〜」
ウォード「私もだ。ネリア様はもちろん、まだ気に食わないが…この蒼髪を、未来のともしびを消させはしない!!」
フレイ「皆…?」


痺れの効果も呪いの効果も切れて自由に動けるようになった4人はフレイを囲むようにして並んではそう次々に言った。
その言葉を聞いて呆然を見つめるフレイ。


ネリア「そして…アルヴォンド、お前も仲間だ。お前も必ず護ろう」
アルヴォンド「!!?」
ネリア「こうすることに何か理由があるのだろう?私たちを殺そうとする余程の理由が。…安心しろ、私達が受け止めてやる。私たちはお前を仲間だと思っているからな。もちろん、フレイもな」


ネリアの言葉を聞いたアルヴォンドは、うつむくときつく剣を握った。


アルヴォンド「自分ら…こんなことをしても、俺を仲間と言うんか…ッ」
りん「あたり前です!!あなたと過ごしてきた時間は少ないけど本物です!もし私が悪いことを言ったのであれば治します!!ですから、おねがいです…こっちへ来てください!!」


りんはそう言うと、ネリアより前に出てはアルヴォンドの近くへと近づき、彼の両手を握ろうとした。


アルヴォンド「!!や、やめろぉッ!!!!」


そんなりんの行動にまたしても拒否反応を示すアルヴォンドは後ずさりしていく。


りん「どうして手を握ることを嫌がるのです!!自分からは握っても大丈夫なのに、握られるのは嫌…どうしてなのですか、過去に何があったのか教えてください!! 」
アルヴォンド「うるさい…来るな、触るな…嫌やァアアアアアッ!!!!」






???「“愛しの人”に何をするんだい君たち」
『『!?!?!?!』』

―シュンッ


急に声が聞こえてきたと思ったら、その声の主と思われる者がアルヴォンドのすぐ後ろに現れ、恐怖で怯える彼を片手で抱きしめた。
深く蒼い体をすべて多るほどの長いフードマントを身に纏い、顔は怪しい仮面で隠れていて全く見えないが、声からして男であることはわかった。
あと、アルヴォンドの関係者だという事も、セリフから伺える。


りん「アルヴォンドさん!!」
ネリア「!!貴様何者だ!!」
???「ふふ…いずれ分かるよ。さて…私はこれから彼と話さなければいけない事があるのでね。それでは…またいつかお会いしましょう」
りん「い、行かないでください!!アルヴォンドさ―…」


―シュンュ


儚くも、りんはアルヴォンドの手を握ろうとしたところで消えてしまった。
連れ戻すことが出来なかったりんはその場に地面に崩れて、涙を流し悔しがっている。



りん「どうして…どうしてですか、アルヴォンドさん…!!私は…あなたを助けたいだけなのに…ッ!」
ネリア「りん…すまない」
りん「どうしてネリアさんが謝るのですか…?」
ネリア「私が…あいつをちゃんと説得できなかった。これは私の罰だ…すま」
りん「謝らないでください。これは…誰も悪くありません。誰も…ッ」
ネリア「…ッ」


悲しむネリアとりんの後ろに今もなお座り込んで呆然と見つめるフレイに、ガザフとウォードは駆けつけて肩を揺らしては声をかけていた。


ガザフ「おいフレイしっかりするんだ!!フレイ!!」
ウォード「フィーネさん、フレイが思い出した記憶は一体・・」
フィーネ「とにかく酷いわ…気をしっかり持って…フレイちゃん!」
フレイ「かあさん…とうさん…木に…縄…首…ッ」
ガザフ「!!」


光を失った暗い瞳から大粒の涙を静かに流しているフレイ。
それを見たガザフは目を見開き悲痛な表情をしては見つめていた。
ウォードはというと、フレイが呟いた単語の意味を理解しようと顎に手を当てて考えていた。


ウォード「…?!もしかして…!」
フィーネ「合っているわよ、ね…ガザフさん?」
ガザフ「…ッ」


フィーネの問いに答えるように、ガザフは静かに首を縦に振った。
驚いたのはウォードだけでない、前にいて話を聞いていたネリアとりんもだ。
そしてネリアとりんはフレイの方へと振り向き、そしてゆっくりと近づいた。


ガザフ「とりあえず今日は此処で野宿だ。皆色々思うこともある。野営準備をして整い次第、話し合いをしよう…今度こそ、本格的にな」
ウォード「そうだな…この先に進むには整理していかないと何もできまい」
フィーネ「では、フレイちゃんは私が面倒みるわ。皆は準備をよろしくね」


フィーネに異論をせず、その通りにフィーネとフレイ以外は野営の準備を始めた。
フィーネはフレイを後ろから優しく抱きしめて、フレイの頭に自分のおでこをくっつけ始める。
そう、フレイの感情を読み取ろうとしているのだ。
フィーネは意識を集中して読み取る、すると…


フレイ「−−−−−−−」
フィーネ「…ッ?!!…フレイちゃん…あなた、」


読み取っている最中に、フレイが小さな声でつぶやいた「ナニカ」。
それを聞き取れたフィーネは、目を見開いて驚いては、すぐに今にも泣きそうな顔をしてはきつくフレイを抱きしめた。


フィーネ「駄目よ…ダメ、それはダメよフレイちゃん。そんなことはない…大丈夫、フレイちゃんなら…」
フレイ「…」

フレイの瞳は光も誰も映らない。
フレイは、闇に包まれてしまった。
記憶を一部よみがえった記憶の代償は、とても重い。
そしてさらに仲間だと思っていた者の裏切り、それは彼の心にさらに追い打ちをかけてしまったのだ。

すべてを蘇ってしまったらどうなるのか、容易に想像できてしまうのが皆は辛かった。
今のフレイに、本来の彼の姿はない。
この先に起こる未来に不安を隠しきれない一行であった。




第17話へ続く。







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あきゅろす。
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