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物語
第15話 嵐
グロ注意/挿絵3枚あり。(PC閲覧推奨)









ガザフ「フレイ!!」
りん「いやぁあああああああああああ!!」
アルヴォンド「死ねぇええええええええええええ!!」
フレイ「ぁ…ぁあ…!」



―ブシャァアアアアアッ!!!


視界が紅に染まった。




第15話 嵐




―ベチャ…パチャッ…







フレイ「―……ッ?」
ネリア「大丈夫か…フレイ?」
アルヴォンド「?!!」
りん「ぁ…」
ガザフ・フィーネ「!!」
ウォード「ネリア様ァア!!!!」
フレイ「ネリア…お前、肩に…剣が刺さって…ッ!」
ネリア「フレイが無事なら…それでいい」


そうネリアは微笑んで言った。
その姿を見て、フレイは気付いた。


フレイ(初めて俺の名前を…俺に笑顔を見せた…)
アルヴォンド「フレイを狙ってた筈なんやけど、まぁええか、結界オーライやな」


アルヴォンドは身体中ネリアの返り血で浴びて見下ろしてはそう言い、ネリアの右肩に食い込んでる剣をもう一回握りこむと、思いっきり背中から左わき腹のところまで一気に引いて切り刻んではネリアを左方向へと吹き飛ばした。


ネリア「ぁああああああッ!!!!」
ウォード「ネリア様!!」


吹き飛ばされたネリアの元へとすぐに駆け付けたウォード。



アルヴォンド「チッ、薄汚い天空人の血が剣と俺の服汚してしまったやないか…気持ち悪いな」


そう悪態をついたアルヴォンドはネリアの血で汚れた剣を振って払った。
ネリアは肩から左わき腹にかけての切り傷から大量の出血が溢れ出ている。
それを確認したりんはすぐさまネリアの元へと駆け寄ろうとした。
―…が、


アルヴォンド「行かせるか!!ヴォルト!」


アルヴォンドの合図でヴォルトは前に出たかと思うと、りん・フィーネ・ガザフに精霊心術『サンダーバーン』を発動した。
爆発したのと同時に高圧電流が3人に襲いかかる。


りん「きゃぁああああああああああ!!!」
ガザフ・フィーネ「ぁあああああああああああああああ!!!!」
フレイ「ぁ…ぁあ…ッ」
ウォード「アルヴォンドよくも…―」
アルヴォンド「パラリスィス!!」
ウォード「な、う、動かない…!?」


―…バタッ

精霊心術『パラリスィス』は相手の動きを封じる呪いの術だ。
それを受けたウォードは身動きが出来なくなってしまう。
そして同時にヴォルトの攻撃を直撃したガザフ・りん・フィーネは力なく地面に倒れてしまった。
それを黙って見ることしかできないフレイ。


フレイ「ぁ…おれの、俺のせいだ…俺のせいで…ッ」




『逃げて…フレイ!』

フレイ「?!―痛ぁッ!!」


『生きて…貴方だけでも生きるのよ!!』
フレイ「!!この声…は、かあさんッ?!―…痛!!」


失いかけた記憶がよみがえるの同時に頭痛に襲われ頭を抱えている両手の内、右手を離して掌を見てみると、掌には顔に付いていたネリアの返り血が付いていた。
それを見た瞬間、さっきよりも強烈な頭痛に襲われたのと同時に脳内に映像が流れた。
それは森が炎の海に覆われ、赤と黒世界しかない光景が映し出される。
映像は左右に揺れ、何かを探しているような様子がうかがえる。


フレイ(なんだ…これは?)

ガザフ「フレイ…逃げ、ろぉ…ッ!!」
りん「フレイ…さん!」
フィーネ「駄目よ…声はフレイちゃんに届いて、ない…わ。今フレイちゃんは失っていた記憶を思い出している最中なのよッ…!」

アルヴォンド「さぁ、邪魔者はおらんな。じゃあ…フレイ君、」




フレイ『かあさん…とうさん!どこなの!?』

フレイ(この声は…俺の小さい頃の声だ…とうさんとかあさんを探しているのか?)


フレイ『…?なんだろアレ…?』

―…ドクン


フレイ(なんだこれ・・?いやだ、見ていけないような…?)


フレイ『わぁ〜!!ふっとくて大きい木だな〜…ん?』


―パタ…パタタ


何かが落ちているような音が聞こえ、地面を見てみると、それは赤いモノ。
そして気が付いた。地面がナニカの影に埋もれていたことを。


フレイ『なんだろこれ…この影、上の方に何か…』


フレイは上を向こうとする。

―ドクン、ドクン…!


フレイ(やめろ…やめろ…いやだ…ッ)









―…ドクドクドクッ


フレイ『ぁ、ぁあ…!かあさん…ッ?!とうさん…ッ!?』


上を向くと、そこには大きな大樹から大量の縄が伸びており、その縄の先には人が。
そう、大量の人が大樹から伸びている縄によって絞殺されている光景が映し出されていた。
その光景の目の前の中央にフレイの母コニス、左には父のスティルの姿が。
幼いフレイが呼びかけても反応を示さない。もう息を引き取っていた。


―ズキィイン!!!


そして、頭がかち割れそうな程の酷い頭痛が襲ってきた所で、その映像は途切れた。



フレイ「ァアアアアアアアアアアァア”アアアァア”ア”ア”ッ!!!!!!!!!」
アルヴォンド「!!???」


頭を抱えては耳がおかしくなりそうなほどの断末魔の叫び声をあげたフレイの身体から黒いオーラのようなものが発生した。
それを見たアルヴォンドは一瞬驚いたものの、すぐに口角を上げてはこう言った。


アルヴォンド「何を思い出したんか知らんけど、この隙に殺させてもらうで!!」
フレイ「ぁあ…うぁ…ッ」
ウォード「フレイ貴様何をしておる!!早く逃げろ!!!」
フィーネ「酷い…記憶…ッ、ショックで放心状態よ…何言っても駄目ね・・ッ」
りん「ぅう…心術も痺れで体の動きが封じられて…動けない…何もできないなんて…ッ」
ガザフ「…ッフレイ、お前の目的はなんだったッ…!思い出せぇ!!!!」

フレイ(目的…)
アルヴォンド「もう無理やでおっさん・・さいなら、フレイくん」
フレイ(もくてき…?)
アルヴォンド「終焉の淵に宿りし龍よ 我が剣に宿り その力を発揮せん…!」


フレイ「なん…だっけ…」
アルヴォンド「死ね…“紫炎獄龍翔”ォオッ!!!!」


前に突き出して交差する二つの剣から紫色に染まり怪しい光を放っていた。
そして交差した剣を地面にたたきつけるように思いっきり左右に払うと、それによって生まれた巨大な二つの衝撃波が生まれ交差し、二つの衝撃波が一つになり巨大な紫の龍となって襲いかかる、アルヴォンドの秘奧技「紫炎獄龍翔」がフレイに向かっていった。
それを呆然と光を失った瞳で見つめるフレイ。



―その時、



「そう簡単に殺させてたまるものか…!!」

フレイ「…?」



声が聞こえたかと思うと、フレイの目の前に立ちふさがる“ナニカ”



「散れ、はぁああああああ!!!!鳳凰爆炎陣!!!!!」
アルヴォンド「な…ッ?!!!」


フレイの目の前で、放たれた大きな鳥の形に似た炎の壁が出現し、アルヴォンドの秘奧技を無効化した。
その技を出したのは―…

ウォード「ネリア…さま…ッ?!!;」
フレイ「ネリ、ア…?」
ネリア「アルヴォンド、お前は私の本当の力を知らないのだな?」
アルヴォンド「な、何でや…さっき俺が思いっきり致命傷与えたはずなのに…どうして…!;」
ネリア「教えてやろう。我々“天空神”フェニックスは…いくら切られても、心臓を貫かれようと、バラバラに切られようとも、すぐに再生する事ができる不死の身体…不死鳥フェニックスなのだ……覚えておくことだ、小僧」






フレイ「不死鳥…死ねない、から…だ?」



第16話に続く






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