物語 第12話 不協和音 あれからフレイたちは朝ごはんを食べ、フィーネ宅を出発し、世界都市ルーネの大広場へと向かっていた。 りん「いいのですか?付いてきてくださっても…」 フィーネ「あなたたちはグリュエル騎士団という者と戦っているのでしょう?私もこの世界が嫌なのよ〜だから手助けがしたいわ♪…よろしいかしら?」 りん「頼もしいです!これからもよろしくおねがいしますフィーネさん!!良かったですね、アルヴォンドさんフレイさ―…」 アルヴォンド「…」 フレイ「…」 第12話 不協和音 りん(アルヴォンドさんとフレイさんの生心力が乱れてる…?いったい二人とも朝から何があったのでしょうか?) りん「お二人とも…どうかしたんですか?」 アルヴォンド「へ…?!あ、ぁあ!なんもあらへんよ!あ…はは、なぁ…フレイ君!」 フレイ「…俺…自分が分からない」 りん「?」 フレイ「俺は何の種族で…俺は何者で…俺の亡くした記憶はなんなのか…」 フィーネ宅を出る前、フレイは二人にフィーネによって告げられたことを話していた。 りん「フレイさん、焦っても仕方ないですよ?何も解決しません…思い出すのを待つしかありません」 フレイ「…分かってる、けど…俺だけだ。自分の事をなにも知らないのは…ッ」 アルヴォンド「そんなんいちいち気にしたらアカンで〜フレイ君♪」 フレイ「そんなん・・・?!お前に俺の気持ちの何が分かるんだよッ!!」 アルヴォンドの言葉に腹を立てたフレイは、彼の胸倉を思い切り掴んで睨み付けた。 そのフレイの態度を見て、アルヴォンドは目を細めて見つめる。 アルヴォンド「…なんやその態度ッ、朝からくよくよいじいじ…お前らしくないんや!一発ぶん殴ったろか?!」 フレイ「上等だよ…来いよ女たらし」 アルヴォンド「自分は前からムカついとったんや…その態度といい…言い方といい…ネリアちゃんの反感買うのも当然やで!」 フレイ「……っ!だ、黙れぇえ!!」 怒りに血が上ったフレイとアルヴォンドは距離を置き、剣を取り出しては臨戦態勢に入る。 それを見たりんは内心焦りを見せて、どうにかして止めなければ策を講じていた。 ―その時、 フィーネ「スプレッド!」 ―バシャァアン!…ポタ… 戦闘が始まりそうなフレイとアルヴォンドに水系心術スプレッドを放ったフィーネは、ニコニコと笑顔を見せ、そして大広場の方向へと前へ歩き始めた。 突然のことに、アルヴォンドとフレイは状況が一瞬呑み込めなかったが、理解すると剣を鞘に戻して、二人は顔をそらす。 そんな二人とフィーネをりんは交互に見つめる。 フィーネ「焦っても何も生まれないわ。…さぁ、大広場へと向かうわよん〜♪」 フレイ「…チッ」 アルヴォンド「…ッ」 りん(二人とも一体どうしたんです?…このままだと生心力が…) あれから30分ほどたって、やっと大広場へとついたフレイ一行は、大広場のあまりの大きさに驚いていた。 フレイ「大広場に着いたな…」 アルヴォンド「ひっろいなぁ〜…」 りん「一応大広場に着きましたが…いったいこれからどうするのですか?」 りんの問いかけに対して、フィーネは周囲を見渡すと、顎に手を当てて考える様子を見せた。 フィーネ「ぅ〜ん・・・おかしいわね。たしかにここのすぐ近くにフレイちゃんたちの仲間がいる気配があるんだけど…見つからないわねぇ〜」 フレイ「な、なんだって?!」 フィーネの言葉を聞いた途端、フレイは目を見開いて周囲を見渡した。 その時――… 『きゃぁあああああああ!!!』 フレイ・アルヴォンド・りん「?!!」 フィーネ「あら…?この気配…もしかして」 フレイ「この声は…ネリア!!」 りん「ちょっとフレイさん?!待ってください!!;」 フレイが急に声がした方へと突っ走っていったのを、りん達はその跡を追った。 すると、大広場の中央にある噴水広場にたどり着いた。 大勢の人をかき分けていくと、その先には… フレイ「ネリア!それに黒髪…親父!!」 ネリア「!お前ら!!」 ウォード「誰が黒髪だ…私はウォードだバカ…ッ」 ガザフ「まぁ間違っちゃいねぇな、息子よ…;」 りん「どうしたんですかお三方!!一体何が…」 目の前で俯いて後ろに手と足を縛られて倒れているガザフ・ウォード・ネリアがいた。 ガザフ「そんなの俺たちが聞きたいなぁ…りんちゃん」 ???「聞きたい…たしかに君たちはそう言ったかい?」 ???「言ってましたぁああ!」 フレイ「…ッ誰だ!!」 声がした方へと振り向いてみると、フレイたちの斜め左の奥にある家の屋根にその声の主はいた。 するとそれは急に消えていなくなったと思ったら、ガザフ達の後ろへと移動し、その姿を現した。 ???「ふッ…フレイとアルヴォンドとネリアちゃんは頂いたよ…」 ???「そうよ!いただいたわよー!」 フレイ・アルヴォン『は?』 りん「あの…捕まえた方々はフレイさんとアルヴォンドさんではないのですが…」 ???『ぇ…?!;』 空気が凍りついた。 ???「ちょ、ちょっとベル様どうしましょう!!恥ずかしいですぅ〜!」 ???「ふぉっふ…落ち着くのだキース…っ、でもこれで判明した―」 ガザフ「!!逃げろアルヴォンド!!フレイ!!」 ガザフがそう叫んだと同時に謎の女と男の二人はアルヴォンドとフレイに向かってきた。 突然のことで剣を掴む余裕もなく、せめてもの避けようとした―その時、 フィーネ「あらぁ、ごめんなさいね♪アクアバレー!!」 フィーネはそう言うと、フレイとアルヴォンドの目の前に展開された魔方陣からボールの形をした水が出現し襲ってこようとした男女二人に攻撃をした。 攻撃をもろに食らった二人は後ろの噴水広場の淵に激突する。 それを確認すると、フィーネはフレイとアルヴォンドの前に立ちふさがり、やんわりと笑顔を見せると、 フィーネ「あらぁ、貴方たちがグリュエル騎士団なの?初めてお目にかかるわ」 ???「な、なんなのよこの女!まだ何も言ってないのにどうして!!」 フィーネ「あなたたちの記憶…見させてもらったわ」 ???「お前…何者だ」 フィーネ「私はルーネの占術師フィーネ・ウェルツよ。グリュエル騎士団ナンバーVのベルザント・ルーヴ・フォンドくんと、ナンバーWのキース・デュラルちゃん」 ベルザンド「…怖い女だな…ッ」 キース「ムカつきますあの女…いつかぶった切る!!」 フレイ「グリュエル騎士団!?」 アルヴォンド「…チッ」 体制を立て直したキースとベルザンドは、用のないウォードとガザフの縄をほどいたのと同時に、二人に風属性心術「ウィンド」を発動しりんの後ろへと吹き飛ばした。 ガザフ・ウォード「ぐぁああああ!!」 フレイ「親父!黒髪!!」 キース「待ちな!」 フレイがガザフの元へと駆けつけようとした瞬間、キースが両手に鞭のようなものを手にしそれをフレイとアルヴォンドに向けるとそれは伸びて二人の体を締め付けて動きを封じた。 アルヴォンド「うわぁあああ!!;なんやこれ?!」 フレイ「痛…!離せ!」 キース「離すもんですか!ベル様に恥をかかせた罰よ!そして―」 ベルザンド「こんなにあっさり見つかるなんて…な?」 アルヴォンド「!やめ――…!」 ベルザンド「唯一の生き残りの…宝心種族のフレイ・ミューレントと、操霊種族のアルヴォンド・ルフィ―リア」 キース「そして…天空人で飛空種族鳥タイプ:フェニックスのネリア・フェニス…“女神アリスタの涙”が揃うだなんて…ねぇ、ベル様…♪」 ガザフ「なん・・・だと…ッ?!」 アルヴォンド「フレイが…宝心種族…!それに、ネリアちゃんがフェニックス・・・やて…ッ?!;」 りん「女神アリスタ…?!そんな…まさか!」 ネリア「ぁ…ぁあ…!」 ウォード「何という事だ…あいつらが…ッ!;」 フィーネ「…」 フレイ「俺は…宝心種族…?」 とうとう、散らばっていたピースが全て繋がってしまった。 第13話へ続く [*前へ][次へ#] |