物語 第7話 ハーフ ソルティー「あれ?知ってるんだーグリュエル騎士団。もしかして君、世界騎士団の関係者?」 ネリア「それがどうしたっていうのだ」 ソルティー「それは重要なことなんだよね〜…だってさ僕 グリュエル騎士団を知っているものは殺せって言われてるんだからね」 『?!!』 第7話 ハーフ りん(グリュエル騎士団・・・?) そう、グリュエル騎士団を知っているものは、その被害に遭った種族・関係者・又は世界騎士団とその関係者しか知らないのだ。 それ以外の人はみんなその名前自体知らないのだ。 もちろん、その活動も。 りんもそのうちの一人だ。 ウソを言わなきゃまた誰かが殺される・・・ そう悟ったネリアはとっさにウソを言おうとした ―…が、 アルヴォンド「知ってるで…」 ネリア「?!ば、バカもの!!アルヴォンド貴様―…!!」 アルヴォンド「自分らは俺が目当てで追ってきたんやろ・・・ちゃうか?」 りん・ネリア「…?」 意味不明な言葉を発したアルヴォンドを不思議そうな表情で見つめていた。 ソルティー「は?なにいってんのお前?っていうか誰?あ、アルヴェンダだっけ」 アルヴォンド「ちゃうわ!!!アルヴォンドや!!;」 ソルティー「ふぅん、どうでもいいや。僕はお前なんか用はない。僕が用があるのは…君だよ」 ソルティーが指をさす方を向いてみる…すると、 ネリア「ぇ・・?」 アルヴォンド「・・・?!」 りん「・・・ぇ?私・・・ですか?!」 ソルティー「そう…君だよ、沙月りん」 らん「ガザフさん!!りんを見ませんでしたか?!!;」 ガザフ「!?ど、どうしたんだらん!」 急にフレイが眠る病室に入ってきた沙月りんの父、らんが焦った様子でガザフにそう問いかけてきた。 らん「りんを一人にしてはいけないんだ…!」 ガザフ「?それはいったいどういう意味―」 らん「…りんは、」 らん「ヒュニマと意姿種族のハーフなんです」 ソルティー「ヒュニマと意姿種族のハーフなんだよ」 りん「!?!」 ネリア「意姿種族…?」 アルヴォンド「なん、やて…?!」 りん「意姿種族・・・?なんですかそれは?」 アルヴォンド「それはな…体に触ったりその人を見るだけで病気やけがをしているところが分かり、かつヒトやモノに宿る生心力(ヴィオゼーラ)を可視化することが出来る唯一の種族なんや」 りん「…!……この不思議な力は…そういう事だったのですね…」 ソルティー「そして…今はもう、その種族はいないんだよ。だって僕たちグリュエル騎士団が全部殺したんだからね…!」 りん「!」 ソルティー「そして生き残りがいた・・しかもハーフという歪みモノの存在でね…!世界にいらない種族はちゃんと芽を摘まないと…そうだろ?」 りん「私が…わたしたち種族が何をしたっていうんですか!!?」 りんの目は怒りと悲しみにあふれていた。 その姿を見たソルティーは笑いだしたかと思うと、こう言った。 ソルティー「ただこの世界には不必要なだけさ。理由なんかない。気に食わない…居ても意味がない、それだけだよ?」 りん「…!!」 ネリア(酷い…同じ地上人だというのに…最低だ) アルヴォンド「自分もうしゃべるな…」 ソルティー「はぁ?何言って―…」 ―…シュバッ ソルティーが言葉を言い終わろうとした時、彼の右頬に切り傷ができ、血があふれ出た。 それはアルヴォンドが目にも見えない速さで放った「瞬光斬」。 アルヴォンドは怒りを滲ませた瞳でソルティーを睨み付けていた。 それを見たソルティーは固唾を飲む。 アルヴォンド「これ以上言ったら…ただじゃ済まさへんで」 ソルティー「うっわー怖いなぁ…」 アルヴォンド「グリュエル騎士団…絶対に許さへん…っ、俺がぶっころしたる…!」 ネリア(…アルヴォンド?) りん「アルヴォンドさん…」 1分程か…しばらく二人のにらみ合いが続いた。 その空気を破ったのは、ソルティーだった。 ソルティー「やーーーめた!面倒くさくなってきたし…」 アルヴォンド「なんや……怖気づいたんか?」 ソルティー「いいや?帰る前に殺すんだ…」 ――ズ…ッ アルヴォンド「…ッ!?」 ネリア「なッ…!」 りん「―――!!」 ソルティー「アルヴェンドだっけ…?ムカつくからさ…死んでよ?」 ソルティーはアルヴォンドの胸をめがけて、ソルティーの武器レーザー銃による光線弾が放たれ、直撃した。 そしてそのままアルヴォンドは前のめりに倒れていった。 ソルティー「それじゃぁ・・・沙月りん…次逢うときは必ず君の番だからね…?」 ネリア「ま、待つのだ貴様―」 ソルティーはそう言い残して、目の前から消え去った。 それを確認した後、真っ先にアルヴォンドの元へと二人は駆け寄った。 ネリア「しっかりしろ…アルヴォンド!」 アルヴォンド「だ、大丈夫や…こないな…傷、かはッ…!」 無理やりアルヴォンドは自分の剣を杖代わりにして立ち上がったが、せき込み吐血したせいかよろめき倒れそうになるところを、りんによって支えられた。 りん「致命傷です、背中に受けた傷からも出血が激しい…このままだと出血多量で―」 アルヴォンド「はは…大げさ…やなッ」 りん「大袈裟じゃ――」 りんはアルヴォンドの脈の状態を確認しようと左手を握ろうとした。 その時―― アルヴォンド「嫌や言ぅとるやろッ!!!」 ――バシィッ!! アルヴォンドは今までに見たことがないすごい剣幕で、りんの手を思いっきり叩いた。 その表情は、まるで怒りとも違う…それはおびえたような感情で、 りん「痛っ…!―…アルヴォンドさん…?!」 アルヴォンド「ぁ…す、すま―ッ?!ケホッ、ごふ、カハァッ!!」 ネリア「!!おいしっかりしろアルヴォンド!!」 りんに謝ろうと言いかけた時、アルヴォンドは急に心臓を締め付けられたような激痛が起こり、それと同時に大量に血を吐きだした。 アルヴォンド(アカン…意識が…) アルヴォンド「自分は…ぬわけ…かん…のや…ッ」 そう小さな声で呟いて、アルヴォンドの意識は そこで途絶えた。 第8話に続く。 [*前へ][次へ#] |