物語 第5話 強がりと喪失 フレイ「異国の街ハイカラ?」 港にほど近い広場で警備に当たっている世界騎士に話を聞いた。 その騎士はガザフの命令でグリュエル騎士団の動向や話などを聴く重要な機密任務を負わせていたのだ。 その騎士の話を聞いてる少し離れたところにある噴水の淵に腰かけて待っているのは、どっと疲れたような表情をして俯くアルヴォンドと、噴水の水が冷たくて気持ちいのかぱちゃぱちゃっと遊ぶネリア。 世界騎士「はい、そう言っていました。会議をしている部屋の隣の部屋に入って隠れて聞いてみたんです、ハイカラはこの世界には不要な街だって。あと…そう!水魚種族の住む世海都市ルーネと、エルフ種族が住む大陸都市ノエルも必要ないとも話していました」 ガザフ「そうか…いつも危険な任務をさせて悪いな、今日からは普通の警備に当たってくれ」 世界騎士「いいえ!ガザフ総指揮官のため、世界の為なら、こんな危険な任務苦ではありませんよ♪フレイ、おまえ…ガザフ総指揮官の足手まといになるなよ?」 フレイ「うるせぇよ!!ったく、じゃぁな!お前も気を付けるんだぜ?死ぬんじゃねーよ!」 世界騎士「バカ、そう簡単に死なねぇよ!それでは、長旅どうか御武運を…健闘を祈っておりますガザフ総指揮官」 ガザフ「ありがとう」 【第5話 強がりと喪失】 フレイ「はぁあ!!魔神剣!虎牙破斬!!熱風斬!!!」 アルヴォンド「えいやぁ!双魔神剣!虎牙連斬!!双龍破斬!!!」 モンスター「ブギャァアアアアッ!!」 ネリア「えい!裂蹴撃!天月旋!!三散華!!!頼んだぞガザフ!!」 ガザフ「おうよ!トライショット!リフターショット!!とどめだ!ガトリングレイン!!!」 ―ドタァ…ッ!! フレイ「こんなもんか」 アル「ま、こんなもんやろ♪」 ネリア「邪魔だ、失せろ」 ガザフ「もっとおっさんを楽しませてくれよな?」 ここは隣の大陸へと続く海底洞窟。 その出口に差し掛かったところで巨大な身の丈3倍はあろうかというくらいの熊のようなモンスターに出会い、戦闘をしていた。 力なくしてその場に大きな巨体が倒れ、もう動かないことを確認すると、武器を仕舞い込んでその巨体を避けて入口へと向かう。 アル「ふぁ…やっっとこの寒い洞窟とおさらばやで……!待ってましたァア地上、そしてべっぴんさん!」 フレイ「ネリア大丈夫か?怪我とかしてないk−」 ネリア「構うでない。これから死ぬ私のことなど」 フレイ「!!人が心配してるのにおまえ―」 ガザフ「お前ら!早くここを出るぞ―ッ!?」 ネリア「ぇ…?」 アル「な…ッ?!」 ガザフ・ネリア・アルヴォンドが見た光景。 それは、 フレイ「ごふ…ッ」 まだ息があったモンスターがネリアを襲いかかる爪が鋭くとがった爪から、 身を呈して護り、その代償に… 鋭くとがった3本の爪がフレイの腹部を抉りそしてそれは貫通し、ネリアの目の前には宙に浮いている姿が映っていた。 その光景を見たネリアは、脳内にとある映像がフラッシュバックする。 ???「ネリアさま…どうか御無事で」 ???「どうだ…血の匂いは?最高だろう?」 ???「今日はこれを見せよう…――――」 それは、目の前が、真っ赤に染まる映像。 血、血… ち、ち、血、血血、赤、 血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血… なにかが、壊れる音が、ネリアの脳内に響いた。 ネリア「い、いやぁああああああああああああああああああああああああッ!!!!」 モンスターは自分の爪に突き刺さったフレイを横に払うと、フレイは壁に背中を打ち付けられ、そのまま前のめりで静かに倒れていった。 ガザフ「これで本当に終わりだ!!双裂散!!」 アルヴォンド「うわぁあフレイくん!……っ、ふぁ、ファーストエイド!!」 ガザフ「!!おまえ…治癒術使えるのか?!」 アルヴォンド「ま、まぁ、ちょっとだけやけど…な。でもこんな応急処置じゃ埒がアカンで…!ど、どないしよぉ〜っ」 ガザフ「おい!フレイ…俺の声が聞こえるか!」 フレイ「…ッ」 ガザフ「確かに…昏睡状態に陥っている…このままだと出血多量で死んでしまう!急いでハイカラに向かうぞ!!」 ガザフはそう言うと、フレイを背負って出口へと向かい始めた。 アルヴォンド「い、急ぐかて…ここからせいぜい走っても30分もかかるんやで!?」 ガザフ「おれは俊人種族でな、人並より3倍の速さで走ることが出来るんだ。おれは先に行って医者を見つけてる。アルヴォンド、お前はここからハイカラの行き方はわかるな?」 アルヴォンド「ぁ、ぁあ…何回も行ったことがあるからな」 ガザフ「わかった。それではネリアを頼んだぞ!」 そう言ってガザフは二人に背を向けると、本当に目にもとまらぬ速さでこの場を去って行った。 アルヴォンド「ほ、本当に…速いんやな…俊人種族っていうのは…!;…さてと、大丈夫かネリアちゃん?…ネリアちゃん?!」 ネリアの方を見ると、涙を流しながら意識を失って倒れているネリアの姿があった。 それに驚いたアルヴォンドは彼女に近づき、体をゆすっても全く意識を取り戻さない彼女に、顔面蒼白した。 アルヴォンド「あれ?これって…まさか…おれ…ここからネリアちゃんを担いでハイカラに行かなきゃアカンってことやんなぁ?あれ、嬉しいけど…何このドSシステム;うわぁあああああああおっさんの鬼ぃいいいい!!!!」 ************* 場所は変わって、此処は異国ハイカラ。 ここは変わった国で、変わった建物、変わった服を身にまとう和の国。 観光客第1位の名誉を持ち、観光名所としても名高いこの国に、先ほど洞窟から走ってきて10分後に到着したガザフと背中に担がれているフレイの姿が現れた。 ガザフ「だれか!医者は、医者はいないか!!けが人がいるんだ!!お願いだ!!」 必死に呼びかけるガザフの姿を見た国の人、はたまた観光客はどよめき始めたその中から、この国の衣装ともいえる服を身にまとった少女の姿が二人の目の前に現れた。 ???「患者がいるのですか!?」 ガザフ「!!き、君は…?」 ???「私は沙月堂の院長の娘の沙月りんと申します。さぁ、患者がいるのでしょ!?早くこちらへ!!」 ガザフ「た、助かる!一刻の猶予も許さない状態だ…頼む!」 りん「これはひどい…できる限り努めます!さぁ、私の後をついてきてください!!」 彼女のリードのもと、ガザフは沙月堂へと向かうのであった。 第6話に続く。 [*前へ][次へ#] |