物語 第4話 ヒュニマの謎の二刀流剣士 ネリア「此処が隣町のヘーゼルか…!」 世界首都ルイセンド王国より南西に位置する街、ヘーゼル。 ここは海に面する小さな港町である。海産物がとても盛んで、もちろん名物も海産物を使った料理がとても有名で、世界首都ルイセンド王国ご用達の食事もあるとしてとても友好な街だ。 フレイ「ヘーゼルに来たのはここには昔から他種族が住んでてな、お互いに協力して苦しみも分かち合って生きているところなんだ」 ガザフ「君にも言ったが、絶滅しかけた種族が、グリュエル騎士団から逃れるためにこの街に住んで隠れている。それも町の人も知っていて、お互いに助け合っているんだ」 ネリア「そうなのか…」 ガザフ「おれはここに兵士を、騎士団の者も日々警備に当たらせてグリュエル騎士団から護っている。必要のない種族などいないからな…」 ガザフ(オルグユ…昔のお前はこうはしなかったはずだ…どうしてお前はこういう事を…) さっきまで元気に話していたガザフの顔が変わったのを、ネリアは見逃さなかった。 ネリア「…ガザフどうした、お腹でも痛いのか?」 ガザフ「ぇ、き、気にするなよネリアちゃん;」 フレイ「どうしたんだよ本当に?お腹痛いのなら宿で―」 ガザフ「ぁああああガキは心配しなくてもいいの!大丈夫だから…よし、今から聞き込み調査だ」 フレイ「何を聴くんだよ?」 ガザフ「バカ、この世界をここまでしたやつの噂とかだよ」 フレイ「あぁそうか!グリュエル騎士団のことだな!めんどくさいが世界を変えるためだ!!やってやるぜ――!!」 ネリア「いつもアイツは大声で叫び回るのか?」 ガザフ「気にしたらおしまいだ。よし、フレイを追うぞ」 フレイ「ぎゃぁあああああああああああああああああああ!!」 【第4話 ヒュニマの謎の二刀流剣士】 ガザフ「今の声はフレイ?!」 ネリア「あのバカ、一体何をしたのだ!」 二人はフレイの先ほどの叫び声をした方を頼りに走ると、港にほど近い広場へとたどり着いた。 そこにはしりもちをついて座り込んでいるフレイと、同じく反対側にしりもちをついて座り込む人の姿が。 フレイ「〜痛ッ!なんでこっちに向かって走ってくるんだよ!!避けろよバカ!!」 ???「な!?!なんで俺が怒られるん!?俺のセリフなんやけど!!自分から向かってきたんやないかい!!」 ガザフ「この馬鹿フレイ!いつも落ち着いて行動しろと何度言えばわかるんだ!!」 ネリア「馬鹿者」 フレイ「ご、ごめんなさい…」 ???「ぁ…ぁああああ!!自分ら!!あの森で見た3人やないか!!」 フレイ・ネリア・ガザフ「!?!?」 あの森…それはあの日しかありえない。 そう、ネリアと出会ったあの森である。 ということは彼は… フレイ「お前…もしかして、全部聞いてたのか…?!」 ???「ぁあ、自己紹介がまだやったね…っ」 青年はそう言っては立ち上がり、いまだにしりもちをついて座り込んでいるフレイに手を差し伸べてはこう言った。 ???「俺はアルヴォンド・ルフィ―リアや。種族はヒュニマで、考古学者をしては世界をまわっとるもんや。どや、宿屋で少し四人で話さへんか?」 ************* 場所は変わって宿屋の一室。おかみにわけを言ってタダで貸してもらった。 フレイ「で、もう一度聞く。全部聞いてたのか?」 アルヴォンド「せやから……自分らをここに呼んで、話しよう思ぅとるやんか」 ガザフ「お前ヒュニマと言ったな?」 ネリア「ヒュニマとは何なのだ?」 フレイ「ヒュニマっていうのは種族もなんも特別な容姿も能力も持たない、普通の人のことを言うんだ」 アルヴォンド「せやで〜よう覚えとき、天空人の…ネリアちゃん♪」 そうアルヴォンドが言うと、ネリアの手をつかんでは手のひらにキスして笑った。 それを冷ややかな目で見つめる(ていうか引いている)ネリアを見た彼は、若干苦笑いをした。 その一部始終を見ていたフレイは、なぜかイラッとした気持ちになり、無愛想な顔でイラつきながら咳ばらいをした。 フレイの行為に気が付いたアルヴォンドはネリアから手を放して部屋にある椅子に座ると、口を開き始める。 アルヴォンド「堪忍や〜そう怒んといて;俺やって偶然、あの場面に出くわしてしもうただけなんやから…」 フレイ「だれにもバラさない約束するか?」 アルヴォンド「する!するから!!おねがいや…命だけはっ」 フレイ「いいよな、親父?」 ガザフ「わかった」 ネリア「?なにがいいのだ?」 フレイ「よし、おれたちと一緒について来い。それがお前がこの事をバラさないかわりの許しの条件だ」 アルヴォンド「ぇ、ぇえ!?!?;な、なんでや!?」 とても嫌な顔をして驚くアルヴォンドに対し、フレイとガザフは悪役のような悪い笑みを浮かべて彼に少し近づいていく。 フレイ「そういえばお前、さっき自分で考古学者っていったよなァ?」 アルヴォンド「へ?言ぅたけど……それが何か―」 ガザフ「知らないようだから教えておくが、世界法律刑法第360にな、世界の遺産や遺物がある遺跡や昔から由緒ある場所に入るためにはルイセンド王国国王の許可必要である。もしこれに反した場合、即刻いかなる理由であっても死刑という法律があるんだ…」 アルヴォンド「ぁ…そう、なん、やぁ…あはは、俺……初めて聞いたな…その法律。い、今できたんか?;」 ガザフ「いやぁ?昔からあるぞ?アルヴォンドくん?」 アルヴォンド「・・・・・・・仲間にさせて下さいお願いします;」 フレイ「さーて、この宿を出発しようぜ親父♪」 ガザフ「おう息子♪」 そう笑顔で会話を交わして部屋を出ようと動き出す二人を見つめてアルヴォンドは心から思った。 彼れらは鬼だと、脅しだと、彼らのしていることが犯罪なのではないかと。 ネリア「良かったなお前……許してもらえて、これで大丈夫だぞ」 アルヴォンド「なんか…励まされても嬉しくないんやけど…なぜや…ぅう;」 第5話に続く [*前へ][次へ#] |