pokemon そっとぎゅっと抱きしめて(N×♀主) Nと別れた、あの日。 私はなぜか心に穴が空いたように感じた。 それは、私が。 Nが好きだということで。 今更気づいても、遅いってことだった。 だって、あなたには。 もう会えない――。 あれからもう1ヶ月も経つ。 その間は、なんだかわからない感覚でポケモン勝負をしてきた。 幼なじみのベルとチェレンと一緒に居たって、心の何処かではNの事を考えてしまう。 「…トウコ、どうしたの?元気無い顔してるよ」 「…そうかなぁ」 「…上の空って感じだね」 頬杖をつきながら空を見ていると、不意に黒い何かが空を過ぎる。 「…っ!?」 私はそれを見失わないようにすぐさま走り出した。 「あ!トウコっ」 「ごめん、先帰ってて!」 それだけ言うと、もう振り返らずにただひたすら走る。 あの方向は確か、16番道路。 着地したのを見たから、彼はまだいるはず。 素早く鞄からモンスターボールを取り出し、ポケモンを出す。 「ケンホロウ、お願い。あの場所まで連れてって」 目的地は16番道路にある迷いの森の入口。 そこに、彼は居た。 「――N…!」 私の声に気づいて振り返るN。 しかし、それよりも前に私はケンホロウから飛び降りていた。 「…トウコ…?わっ…!」 それをNは綺麗に受け止めてくれて、地面に下ろされる。 「…久しぶり、だね」 「…Nっ…」 Nの顔を見ると、嬉しいはずなのにぼろぼろと涙が出てきて。 どうしようもなくて、ただ泣いているとふわりとNに抱きしめられた。 「…っ…会いたかった…!」 「…うん、僕も。だから、会いにきたんだ」 すると、更に強く抱きしめられ囁くような声でNは言った。 「…好きだよ」 その一言がまた嬉しくて、余計に涙が止まらなくなる。 「…わ…私も…」 一度口をつぐんで、息を整えてから言葉を紡ぐ。 「…Nのこと、…好き」 そう言うと、Nは微笑んで。 私たちは、お互いを確かめるように、気持ちを確かめるように。 そっと口づけては、二人で笑いあった。 (…もう何処にも行かないでね?) (うん。約束) 2011.01.25(火) あとがき ゲームクリア後のお話、Nとの再開を書いてみました! 甘甘だと思いますよ…? うん、砂糖いれすぎってくらいにw← [*前へ] |