深い闇の底で見つけた光
07
数分したところで、襖が開いた。
出てきたのは、女装をした薫だ。
薫の姿を見たとき、私は固まってしまった。
…綺麗。
「…出来たよ。これから街に出るけど、行く?」
そう言う薫の声も聞こえずに、ただ薫だけを見ていた。
「…雪音?」
「…え?あ、うん」
やばいやばい、見とれてしまった。
私は気づかれないように薫に行こう、と言うと先に外に出た。
薫に連れられるように路地裏を歩いて行くと、大通りに出る。そーっと覗き込むと浅葱色の羽織が見えた。
「…あれって…」
八番組組長、藤堂平助と、一番組組長、沖田総司。それに…。
「…千鶴ちゃん…」
一人だけ、羽織を着ていない少年――いや、男装している少女がいた。
私がその名前を口にすると、薫は歪んだ笑みを浮かべた。
「…おまえ、あいつと仲良いの?」
「…ううん、知ってるだけだよ」
「ふうん」
それだけ言うと、薫は黙ってしまった。どうしたのか聞こうとすると、他の声に邪魔をされた。
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