深い闇の底で見つけた光
05
数十分後。
「…ここをこうして、こうするんですよ」
きゅっと後ろでリボンを結ばれる。やっと終わったらしい。
「ありがとうございました」
「いえ。それでは」
女性は来た時と同じようににこりと微笑むと、部屋を出ていった。
「…薫ー?」
「なに。ああ、出来たのか」
薫は廊下から中に入ると、私を見た。
私は恥ずかしくて、俯いていたが。
「…ふうん。案外似合ってるじゃないか」
「に、似合ってなんかないっ!」
素直に喜べない私は、顔を真っ赤にして反抗する。すると、薫は私の髪に触れた。
「髪結んであげるからそこ座って」
「…うん」
櫛で髪をとかされるくすぐったさに私は目をつぶった。長い髪を一つにまとめ、昔風の結い方で結ぶ。
…やり方がよくわからないんだけど。
最後にかんざしみたいなのをつけられる。
「…そのまま目をつぶってて。動くなよ?」
唇に冷たい感触がして、体をこおばらせる。
ゆっくりと滑らせるように唇をなぞっていく。
「ほら、目を開けていいよ」
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