深い闇の底で見つけた光
02
「なんのつもり?てか、なにこれ」
「あめ玉、だよ」
こうやって開けるの、とやって見せると、薫はそれを真似する。
「…開かない」
「端っこ持って。あ、そのギザギザのところだよ?」
ビッ!
「あっ」
力を入れすぎたせいで袋が破け、あめ玉が宙を舞う。
薫はそれを綺麗にキャッチして、まじまじと見た。
「心配しなくても何も入ってないよ。美味しいから食べてみな」
パクっと私があめ玉を食べると、薫も恐る恐る口に含む。
ころころと転がすと、甘い味が口の中に広がった。
「…甘い」
「甘いの苦手だった?」
「…別に」
嫌いじゃない、と一言いうと、薫は一つの箱を私に差し出した。
「これは?」
「着物だよ。着方はわかる?」
「…浴衣と同じなら…」
箱を開けると、赤い色の着物が入っていた。それを取り出すと、その下からまた着物がもう一着。
「…前言撤回。ごめん、着れない」
私がそういうと、薫はやっぱりね、とため息を吐いた。
「俺が教えてやりたいところだけど、やっぱり女同士がいいよな…」
そう言って薫は悩み始めた。
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