深い闇の底で見つけた光
11
何故か敬語になってしまう。それほど、今の薫が恐ろしいのだ。
で、出来る限り、他のものに当たって下さい…!
ぐっと目を瞑ると、頬に薫の冷たい手が触れた。
「…ばーか」
「っ!?」
頬に痛みを感じて目を開けると、薫が愉快そうに笑っていた。
「にゃ、にゃんで、ほっへつねふの!?」(な、なんで、ほっぺつねるの!?)
「いい、ストレス発散だから」
「にゃにそれー!」(なにそれー!)
さっきよりも強い力でつねられ、自然と涙目になってしまう。
しばらくして、気が済んだのか、やっと手を離してくれた。
「…あーあ。真っ赤」
「か、薫のせいでしょっ!?」
ヒリヒリと痛む頬を撫でながら薫を見る。
すると、悲しげに笑っていた。
「…薫…?」
「…っ!」
薫は他のことを考えていたのか、私に呼ばれて一瞬目を見開くと、すぐに普通の笑みに戻った。
「なに?」
「…ううん、別に」
「なにそれ」
…何も言わないでおこう…。
私が軽く苦笑すると、薫は何かを思い出したように私に聞いてきた。
「…一人で家まで帰れる?」
「…そう言われましても…」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!