深い闇の底で見つけた光
03
しばらく獣道を走っていたと思う。
道沿いに行くと、そこにつくのがいつになるかわからないから。
「…はぁ…はぁっ…!」
だんだんと近づくにつれ、刀がぶつかり合う音が聞こえてくる。
あと、もう少し。ここを抜ければ――。
飛び出した先には、沖田を斬ろうと刀を振り上げている薫。
と、それに近づくひとつの影。
「薫っ!!!」
即座に刀を抜いて薫の後ろに立つと、予想通りに薫を狙っていた刀を跳ね返す。
「薫、大丈夫?」
「…え」
薫は気を張り詰めながら、私の方を向いた。
「危ない、危ないっ危うく薫が刀でぐさりと串刺しにされるとこだったよ」
「な!?それはこっちの台詞だ!雪音こそ一歩間違ってたら串刺しだったね」
「私を途中で置いていった薫が悪いんだもん」
「な…!?」
言葉を続けようとした薫に目で敵の存在を促すと、薫は言葉を飲み込む。
そして私の前で刀を構え直した男を見て、目を細めた。
「風間、千景…」
「…外した、か。女、何故俺の邪魔をする」
「さあ、ね。ただ私は、薫を守りたいだけ!」
「ふざけたことを。ならば、雪村の名を汚したものとともに葬り去ってやろう」
私もすぐに刀を構えると、にっと笑う。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!