深い闇の底で見つけた光
04
私が顔を真っ赤にしながらそう言うと、薫はまたくつくつと笑い出す。
「…もう」
私は小さくため息を吐くと苦笑した。
「仲がいいところすまないが、薫、そろそろ…」
「…あ、そっか。じゃあ雪音、また後で」
「うん。いってらっしゃい」
そう言って手を振って一瞬だけ瞬きすると、次の瞬間には薫がいなかった。
「…ところで綱道さん。薫はどこに行ったんですか?」
「薫はこれから起こる戦争の情報集め、といったところかな」
「…やっぱり起こるんですね、戦争が…」
私がここにいることで、何か役に立てればいいんだけどな…。
そう思っていると、突然綱道から話し掛けられる。
「…何故、戦争が起こると?」
「そんな雰囲気がしていたから、です。それに薫からもいくらか聞いていたし…」
「…うん、やっぱり君はそれがいい」
「…え?」
綱道は一度納得したように頷くと、私を見た。
「君は敬語を話すより、そのままの方がいい」
「…あ」
気づかない間に普通に話していたらしい。
私は優しく笑う綱道を見て苦笑する。
「そうだ、薫が帰って来るまで中に入っていようか。外で立っているのも疲れるだろう?」
「はい、そうさせてもらいます」
私が敬語なのが気になるのか、綱道は苦笑すると私を中へ招いた。
思えば、これが――この時が最後の安息できた時だったのかも、知れない――。
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