深い闇の底で見つけた光
03
「雪音」
「…ぅー…」
薫の方を見れなくて顔を逸らしたままにしていると、頬に冷たい手が触れた。
と思った瞬間、無理矢理薫と目を合わせられる。
「な、なに…!んにゃ!?」
次の瞬間には頬をぐりぐりとつねられた。
「いひゃい、いひゃいってば…!」
ひとしきりつねった後、満足したのか今度は顔を挟まれる。間近にある薫の顔にどきどきと心臓がうるさい。
「か、薫…!?」
「…支えるから、か。期待しておいてあげるよ」
ゆっくりと近づいてくる薫の唇と私の唇がぶつかる、そう思ってぎゅっと目を強くつむった。
「…冗談」
「…ふぇ?」
そっと目を開けると、明らかに楽しんでいる薫の顔が。
「期待、した?」
私と目を合わせて笑う薫。その顔はいつもの顔ではなく、無邪気そうな。
そんな顔だったから、私は頬が熱くなるのを感じた。
「き、期待なんてしてないもんっ」
(いつもそういうことしないくせに…調子狂うよ、もう…)
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