深い闇の底で見つけた光
01
私たちが向かった先は山というか森というか。
見慣れない場所をはぐれないように歩いていると、神社ではないがそんな感じの所にでた。
…なんとも曖昧な説明である。
「…此処が俺たちの拠点みたいなものかな」
「へぇ…此処が」
此処に、綱道がいるはず。
私が注意深くそこを見つめていると、人の気配がした。
「…そんなに警戒しなくったって大丈夫」
「…だって…」
実際、綱道と会うのは初めてだ。
そのせいか緊張というより警戒が強い。
警戒していると誰もいない所に人が現れた。
…雪村綱道だ。
「…薫、その娘が例の…」
「そうだよ。…雪音、自己紹介」
薫に促されて私は慌てて頭を下げる。
「江藤雪音、です。薫にお世話になってます」
異世界から来たとか、これから何が起きるのとかは伏せておいた。さっきから私が余計な事を言わないように脅しているのか、薫の視線が痛い。
自己紹介し終わったのはいいけど、私は何を言えばいいのかわからなくなって薫を見た。
「…薫、この子戦えるのか?」
「心配しなくても羅刹と互角に戦える」
「…そうか。にしても千鶴と同じくらいの年の子じゃないか」
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