深い闇の底で見つけた光 02 少しの無言を破ったのは、薫のため息。 「…俺、雪音に喋ってないのに。喋ってるの聞こえたの?」 「…え?ううん、ちが…」 そう言おうとした瞬間、薫に遮られた。 「雪音はこれから起こることを知ってるみたいだね」 「…うん」 知ってるよ。薫が進もうとしてる道のたどり着く先は死だってこと。 薫には言えないけど。 「…ごめんね…」 「…謝らなくていいよ。知っていてもおかしくないからね」 「…え?」 突然の薫の返答に私は驚きを隠せなかった。 「だって雪音、異世界から来たんだろ」 「…あ、そっか」 今更ながら納得してしまった。確かこの世界に来て、薫と出会った時にそんなこと言ったな、私。 「だからそんなに驚かないというか、まあ多少は驚いたりもするけど」 「…薫は、未来を知りたい?」 「別に」 「へ?」 速答され私が間抜けな声を出すと、薫はくつくつと笑い出した。 「別に未来を知ったところで、特にどうともしないけど。未来は自分で切り開くものだしね」 「…あ…」 薫の言う通りだ。未来は自分で切り開くもの。だから私は決心したんじゃないか。 「ま、未来を見たら見たでつまらないっていうのもあるけど」 [*前へ][次へ#] |