深い闇の底で見つけた光
01
沖田と対峙してから数日。
薫が出かける日が多くなった。
聞くと、薩摩、長州、土佐潘が幕府を倒すためとかでなんだかんだと忙しいらしい。
あとは、たまに薫の口から綱道の名前が出てくることだけ。
もう少ししたら鳥羽・伏見の戦いでも始まるんじゃないか、という感じだった。
「…薫…」
「…ん?どうした?」
「あ、いや…薫、忙しそうだなって」
寂しかったからつい、なんて言えないし。
薫は数回目を瞬くと、理解したように薄らと笑った。
「…お茶にでもしようか」
「…いいの?」
私がそう聞くと、薫はこくりと頷いてお茶を用意する。
「一息つくのも大切だからね。はい、雪音」
「あ、ありがとう」
そう言って薫からお茶を受け取ると、薫は私の前に座ってため息を吐いた。
「…まったく、争い事は人間たちが勝手にやってればいいのに」
「大変そうだね、薫」
「まあね。ま、もう少しでそれも終わるさ」
「…綱道さんのとこに行くの?」
私のその言葉に、薫は目を細めた。だがそれも一瞬で、すぐにいつもの薫に戻る。
「…そうだね。そうなるかな」
「…鬼の世を、作るために…?」
「………!!」
今度のはさすがに驚いたようだ。薫は静かに私を睨みつけた。
私は薫の方を見れなくて、逃げるように俯く。
先を知ってるのって、なんか辛いな…。
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