深い闇の底で見つけた光
09
暗い視界の中、聞こえたのは銃の音と、撃った人たちの声。
「沖田さん!」
「総司!」
そして、千鶴と平助の声。
「…かお、る…?」
薫の名前を呼ぶと、視界が明るくなった。
視界を遮っていたのは薫の手だったのだ。
「…沖田なら千鶴を庇うと思ったよ。千鶴、お前はもっと苦しめばいい」
「………」
そう言った薫の顔を見てしまい、私は何も言えなくて、下を向く。
「雪音、ありがとう」
「…え?」
…今、なんて言いましたか?
私が目をぱちくりしていると、薫は私の額を突いてきた。
「…いったぁ…」
「なんでもない。ほら行くよ」
再び薫に抱えられて、私は突然のことに驚き、薫にしがみついた。
「え、ちょっと待って!ひゃあああ!!」
「…うるさい。気づかれるだろ」
そこから少し、気を失っていたことは言うまでもない。
(第四章:終)
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