深い闇の底で見つけた光
08
薫に振り下ろそうとした刀を、素早く抜いた刀で受け止める。
「私は、薫を守りたいからここにいる!薫は一人じゃないよ」
「………!」
「君も羅刹、だったんだ…!」
ぐぐっと力を入れて刀で押しながら、沖田は私の姿を観察する。
「…沖田さん、より、私の方が、羅刹になるのは早かった、ですよ…!」
さすが男と女の差だ…!力が違いすぎる。
少しずつ後ろに押されながら、私は必死に耐えた。
「沖田さーん!」
そう、この声が聞こえるまでは。
「…千鶴ちゃん」
今まで押されていた力が弱まる。
チャンス、だと思った時には、薫に抱えられて屋根に飛んでいた。
「かお…」
「しっ」
沖田が私たちを見上げていて、薫はそれに気づくと、ふっと笑って千鶴を見て沖田に一言。
「ちなみに言っておくけど、あれ、嘘だから。変若水じゃ労咳は治らないんだよ」
沖田は一瞬、悔しそうな顔をしたが、とりあえずそれを見る。
「あ…」
左の路地に、人がいた。千鶴と平助が走ってくるのを見て、銃を構える。
「危ない!!」
それを見た瞬間、沖田は走り出した。その先に起こることを私は知っている。それを目の当たりにする、時。
さっと視界が暗くなった。
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