深い闇の底で見つけた光 07 「きゃ…!」 私が後ろによろめくと、キンッと刀同士がぶつかる音が響いた。 「……!」 目の前で、あのシーンが流れている。 私は何も出来ずに立ち尽くしていた。 「君の目的は何!」 「南雲家に引き取られてから、俺がどんな苦しみを味わったと思う?」 薫は一度強く沖田の刀を押し、後ろに下がって距離をとった。 「女鬼じゃないと言うだけで、それはひどい虐げられようだったよ。なのに千鶴は、兄である俺のことなどすっかり忘れ、一族を滅ぼした人間を仲間のように慕い、大切に守られている」 それを聞きながら、沖田は少しずつ距離を縮めていく。 「大事なものを守れず、誰からも守られず、己の存在理由すらわからない。そんな俺の苦しみを、可愛い妹にもあじあわせてやるんだよ!」 「…悲しいね、君」 「…違うっ!」 薫の言葉を否定するように、沖田の言葉を否定するように、私は声を出していた。 「薫は私を守ってくれてる!それに…私だって自分が存在してる意味なんてわからない!けど…!」 薫は私の方を向いて驚きながらそれを聞いている。 その背後に迫る沖田に私は走りながら、羅刹の力を解放した。 [*前へ][次へ#] |