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深い闇の底で見つけた光
06
沖田の元にたどり着くまで、わずか数十歩という距離だったが、何故か遠く感じた。

薫が沖田と距離をとって立ち止まると、それに気づいて沖田が振り向く。

「…南雲、薫…」

「…私も、居ます」

「雪音、ちゃん…」

ひょこっと薫の後ろから顔を出すと、沖田は少し驚くがすぐに目を細めた。

「…近藤さんを撃ったのは君?」

「変若水、飲んでくれたんだ。新撰組一の剣士とうたわれる沖田を羅刹に出来るなんて、光栄だよ」

「質問に答えろ」

「証拠もないのに俺を疑うの?」

「…薫…っ」

私が袖を引くと、薫はちらりと私を見るとすぐに沖田を挑発するように見た。

「そういえばさっきの人達、御陵衛士の残党だったんだけど。伊東甲子太郎の恨みを晴らしたいっていうわりに奉行所に打ちいる勇気もなくてね。街道に張り込めばいいって教えてあげたかなぁ」

沖田の手に、力が入る。怒っているんだ、殺したいほどに。

「やだなぁ、俺だって悪気があった訳じゃないんだよ?新撰組の局長ともあろう人がまさかあんなにも油断してるとは、夢にも思わなかったからねぇ!」

「っ…!」

沖田が薫に襲い掛かるのと同時に、薫は刀を抜き、私を後ろに下がらせた。





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