深い闇の底で見つけた光
05
そんな私を見ると、薫はくつくつ笑い私から離れる。
「…顔、真っ赤」
「っ〜〜!!」
からかわれたことに少しムッと来たが、とりあえず抑えておく。
「…ま、飲んだばっかりだから吸血衝動は出てないか」
「そんなに早く狂いたくありませんー」
「そういうなら飲まなきゃよかったのに」
「うっ…ごもっともです…」
しゅんっとなると薫が私の髪をさらりと撫でた。
「…ほら、ご飯食べよう」
「うん…!」
薫は素早く運んでくると、私に箸を渡した。
「…じゃあ、いただきますっ」
だんだんと慣れてきたこの暮らしも、もう少しで、終わりか。
なんか寂しい気もするけど、仕方ないのかな。
時が経つのは本当に早いな…。
明日の夜には、沖田が羅刹になってるはずだから。
「…どうかした?」
「…ううんっなんでもないよ。ただ薫が作ったの、おいしいなって思っただけ」
「…ならいいけど」
例え、私に力が無くても。
薫を守る、絶対に。
そう心に決めたのだった。
(第三章:終)
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