深い闇の底で見つけた光
04
片付け終わってから、私は変若水に手を伸ばした。
何回か中に入ってる赤い液体を揺らす。
ただ無心にビンの蓋を開けると、一気にあおった。
「――――っ!?」
持っていたビンが手から滑り落ちる。
苦しい…!
「…はぁっ…!…くぅっ…!」
苦しさを紛らわすように私は床に倒れ込む。
その際に机に頭をぶつけたが、そんなことはどうでもよくって。
不意に目に映った髪に、私は朦朧とする意識の中で思った。
「…私…本当に…羅刹…なっちゃったんだ…」
鏡に映る私の髪は真っ白。そして、目も赤くなっている。
「…変若水、飲んだんだ」
「…薫」
出来たものを運んでくると、薫は落ちたビンを拾った。
「どう?羅刹になった気分は?」
「…どうって聞かれるほどでもないけど」
少ししたら苦しさも消えていて、私はゆっくりと体を起こした。
そして、体の中で渦巻くものを抑えるようにする。
「…へぇ。制御は、出来るみたいだね」
「…何となく…だけどね…」
薫は私の額に手を当て、覗き込むように私を見た。
「…っ…」
額に触れた薫の手は冷たかったが、それよりも近くにある薫の顔に私はふいっと視線をそらした。
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