深い闇の底で見つけた光
03
薫は一度呆れたようにため息を吐くと、私に刀を突き出した。
「…そうだ。雪音も髪切る?」
「…え」
すぐさま後ろに回られ、薫の指が髪に触れる。
…ん?ちょっと待て。
「い、今、薫、私の事、雪音って…!」
「…前から言ってなかったっけ?」
「え、言ってない、言ってな…!」
喋っている途中で、不意に髪が切れる音がした。
…なんか、髪が軽くなった気がする…。
じゃなくてっ!
「まさか薫、私の髪を――」
「ついでだから切っちゃった」
長かった髪は肩くらいになり、床には私のか薫のかわからない髪が散らばっていた。
「…んー…まあ、いっか。って、薫!髪切ったらそのまんまにしちゃだめじゃんっ」
「…面倒臭い。今日は俺が晩御飯作るから、雪音がやっておいてよ」
それだけ言うと、薫は台所に行ってしまう。
「…もう…」
私は仕方なく、散らばった髪を集めだした。
こうしてると、今何が起こってるとか、忘れられるような、そんな気がした。
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