深い闇の底で見つけた光
01
だんだんとこの世界の暮らしにも慣れてきた。
私も少し料理が出来るようになったし。
ここのところ家にいることが多くなった。
薫は一人で何処かに行ってしまう。
私は床に寝転びながら、変若水を眺めていた。
「…羅刹、か」
薫の表情からしてこれは成功している方だと思う。
多分、シナリオ的に沖田に渡すものと同じ濃さ。
私はこの世界では無力だ。
刀も持ったこともないし、剣道をやってたわけでもない。
そこらの浪士にも劣っている私が誰かを守れるとでもいうのか。
自分の情けなさに、私はため息を吐いた。
「こんなことになるなら、剣道でも習ってればよかったな…」
そうしたら薫を守ってあげられたかもしれないのに。
私は勢いよく起き上がると、刀に手をかけた。
「…暇だし、慣れるためにも少し素振りでもするか」
今はそれで少しでも強くならないと。
いくらか、薫に教わったからそこら辺の浪士とは渡り合えると言ってもいいと薫が言ってくれていた。
だから今度の目標は。
「…新撰組」
ぐっと刀を持つ手に力を入れて、私は夜まで素振りをしていた。
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