深い闇の底で見つけた光
07
全て拭き終わったところで、開けた着物を整えると、手ぬぐいを水の中に浸して薫を呼んだ。
「…出来たよー」
「…遅い」
「…背中が届かなかったの」
そういった直後に私のお腹がぐーっと鳴いた。
「…あ」
「…っくく」
笑いを抑えながら笑う薫に、私は恥ずかしくなり、俯く。
「…晩飯食べてないの?」
「だって、やり方わかんないし…」
「早く言えばよかったのに。俺はてっきり食べたと思ってたよ」
「…ごめん」
しゅん、となっていると、目の前に何かが入った風呂敷が置かれる。
「…これ、何?」
「団子。夜食に食べようと思って」
食べる?と聞かれ、私は何度も首を縦に振った。
「食べる、食べるっ!」
すると薫はその風呂敷を広げる。その中には三色の団子が10本ほど入っていて、差し出された1本を受け取る。
「いっただきまーすっ!」
ぱくりと一口食べると、甘い味が口の中に広がった。
…こんなにおいしいお団子、食べたこと無い!
どんどん食べ進めていくと、喉に団子が詰まってむせる。
「ごほごほっ」
「そんなに急いで食べるから。ほら、お茶」
薫にお茶を手渡され、すぐにそれを飲んだ。
「…はぁ。死ぬかと思った…」
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