深い闇の底で見つけた光
05
「う、うん…じゃあ…」
とりあえず受けとっておいた。
「…これが変若水…」
ビンを左右に揺らすと、中の液体も同時に揺れる。
自分の世界にいたら、決して味わうことのなかった事。
これは、幸運なのか、不幸なのか、よくわからない。
「…あ…ありがとう…」
「………」
…あ、無言。
「…羅刹の代償、知ってる?」
「命そのもの…でしょ?力を使う度、寿命が縮まっていく…」
「それなのに”ありがとう”って、変なの」
「う…」
確かに、そうなんだけれども。
貰ったらお礼ってのが礼儀でしょ。…多分。
「…でも、貰ったらお礼しなきゃ」
「…ふぅん」
…それだけ?
言わなきゃよかったかなぁ…。
「…あ、そうそう」
薫は付け加えるように言う。
「今は飲まないほうがいいと思うよ。昼動くのきつくなるし」
「…わかった」
確かに、こんな早い段階から寿命を縮めたくないし。
…薫を守るために、強くならなきゃ。
短時間で強くなれないってわかってる。
けれど、たとえ自分を犠牲にしたとしても、薫を守る。絶対に。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!