深い闇の底で見つけた光
04
「…俺はてっきりそう言うのかと思ってたんだけど」
「言わないよ。だって薫、鬼じゃん」
その言葉に、薫は目を光らせた。
「…ふぅん。やっぱりお前、俺が鬼だって知ってたね」
「…あ」
今更気づいて口を塞いでも、もう遅い。
何か思いついたのか、いきなりくつくつと笑い出す薫。
それを見た私は少し後ろに後ずさる。
薫は服の中からビンを取り出すと、私の目の前に突き出した。
「…これ、なんだ?」
「赤い…液体?…変若水!?」
「正解」
「…それ…どうするの…?」
恐る恐る聞いて見ると、薫は笑顔で。
「あげる」
「ええっ!?」
変若水がこんなにも簡単に手に入れるとは思わなかった。
…じゃなくて。
「…で、でも…羅刹になると血に狂うんでしょ…?…それに、失敗するかも…」
「大丈夫。これは改良に成功してるし、心配いらないよ」
…そんなに私を羅刹にしたいんですか?
…まあ、確かにこうでもしないと役に立たないかもしれないし。
いや、羅刹になりたいとか思ってたけど!
「血なら俺のを飲めばいい。…選択するのはお前だよ。使いたくなったら使うといいさ」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!