深い闇の底で見つけた光 03 「刀を鞘に納めるときに切るんだよ。わざわざ鞘を見ないだろ?」 「あー、なるほど」 手を鞘と間違えちゃうわけね。 それでパックリと…。 …駄目だ、考えただけで怖いや…。 「というわけは、薫もそうだったの?」 「まあ、小さい頃はな。傷はすぐに癒えたけど」 「…すぐにって…」 まあ、薫は鬼だからなぁ…。 傷がすぐに癒えるとか羨ましい。 「…お前は鬼とか信じる?」 「…ふぇ?」 不意に声をかけられたことにより、間抜けな声が出てしまった。 「…何その声」 「あ、ごめん。…鬼、かぁ…」 一瞬だけ考えるふりをした後、私は軽く微笑みながら言った。 「…信じるよ。たとえ、他の人が信じなくても、私は」 そう言うと、薫は面食らったような顔をする。 …なんか、こういう顔させすぎかな? いや、私が変なだけ? 「…つくづく予想の出来ない女」 不機嫌そうな顔をしながら薫は、私を睨む。 そんな薫に私は苦笑すると、普通の人が言うであろう言葉を口にした。 「普通の人だったら…鬼?何それ、何の冗談?というか、いるわけないじゃん。…って言うのかな」 [*前へ][次へ#] |