深い闇の底で見つけた光
02
山南さん…腕さえ負傷しなければ、羅刹になることもなかったのかな。
そんなことを考えていると、刀が手から滑り落ちる。
「あ――」
それに気づき、すぐに拾おうと手を伸ばすと焼けるような痛みに手を引いた。
「…っ」
…人差し指から血が溢れている。
見た目よりも傷は深かったようだ。
どうしようもなくて、その指をくわえる。
…口の中で、血の味が…。
ばんそうこう、鞄の中にあったかなぁ…。
片手で鞄をあさっていると、薫が落とした刀を拾って鞘に納めた。
「…平気?」
薫の問い掛けに、私はコクンと頷く。
その時に、鞄から救急セットが落ちた。
「…あった」
中からばんそうこうを取り出すと、切った部分にあてる。
貼付けてからその部分を見ると、血が治まってきていた。
「むー…ドジったなぁ…」
「ドジというよりアホだな」
「あ、ヒドイ」
「最初は誰だって手切るよ。お前のそれはまだ軽いってこと」
「これで軽いって…」
もう一度人差し指を見るが、これ以上に酷い傷なんて想像出来なかった。
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