深い闇の底で見つけた光
01
「あー、つまんない…!」
薫に家に連れていかれてから早1時間。
テレビはない、コンセントもない、いやむしろ電気がない。
暇をつぶせるものが、一つもない…。
「ひーまー」
「お前は暇でいいよな」
「わっ!?」
声がした方を見ると、薫が不機嫌そうに顔をしかめていた。
「薫、おかえりー」
「……ただいま。はい、これ」
勢いよく私に向かって放り出された刀を、慌てて取る。
「え?どうしたの急に」
「俺と一緒に来るんだったら、お前にも働いてもらおうと思ってさ。使い方はわかる?」
「――えーと、簡単に言えば、振り回す…だけ?」
私がそう言うと、薫は呆れたようにため息を吐いた。
「お前、馬鹿?」
「なっ…!」
「…まぁ、仕方ないか…。夜でいいなら、稽古つけてあげる」
「本当!?わぁ、ありがとー!刀って一度使ってみたかったんだよなー」
さっそく刀を抜いてみると、なんだか緊張する。
見た目よりも思い刀に、確かにこれは片手で扱えるものではないな、と実感した。
[次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!