紅き血の誓い
07
「はい、お手」
「……??」
少し困惑しながらも、華音は手を出す。沖田はその手を取ると、もう片方はつったっていた少女の手首を掴んだ。
…なにその扱いの差。
大人しい子と、いつ逃げるかわからない子の、差?
総司はそのまま笑顔で歩き出す。
「…総司。両手に華、だね」
「んー?」
「…なにその嬉しそうな声は」
華音は少し遅めに、もう一方は引きずられているように見える。
私はただ、苦笑しながらその光景を見ていた。
「己のために最悪を想定しておけ。……さして良いようには転ばない」
二人に釘を刺すように兄様は言う。
少女は軽く青ざめていた。
…色々と考えてしまっているらしい。
私は声を出さないようにして軽く笑ってしまう。
屯所へ帰る道を、私は夜空に浮かぶ月を見ながら歩いた。
(序章:終)
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