紅き血の誓い
05
そういうと、土方さんは軽く舌打ちをした。
「……死体の処理は如何様に?肉体的な異常は特に現れていないようですが」
「羽織だけ脱がせとけ。……後は山崎君が何とかしてくれんだろ」
「御意」
「隊士が斬り殺されてるなんて、僕たちにとっても一大事ですしね」
総司はくすくすと笑いながら同意する。
「ま、後は俺らが黙ってりゃ、世間も勝手に納得してくれるだろうよ」
「総司、この子固まってる」
ちらりと少女を見ると、何かを考えているのか、怯えた表情をしていた。
少女の目に映っているのは、そこに転がってる、死体。
…私たちが平然と喋っているのが怖いのだろう。
「…ねえ、ところでさ。助けてあげたのに、お礼ひとつもないの?」
「……え?」
突然声をかけられて、少女は目を瞬いた。
「そんな、助けてあげたのにって……」
…総司が助けたわけじゃないしね。
少女は立ち上がると、袴についた土を払い、身だしなみを整えてから頭を下げた。
「あの、ありがとうございました。お礼を言うのが遅くなってすみません。……色々あって、混乱していたもので」
………。
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