紅き血の誓い
02
断末魔に甲高い哄笑が重なった。[彼ら]は死んだ浪人たちを、何度も繰り返し斬って刺して突いて裂いた。
壊れてる。
そう言うしかないほどに。
ガタンッと音がした方を振り返ると、少女が木の板を倒してしまったようだった。
その音に、[彼ら]は振り返る。
(まずい――)
[彼ら]は全部で二人。私一人で倒せる人数。
刀の柄を握り、刀を抜いた。そして、少女の方へ向かう二人の後ろに入るとすぐに急所を狙って突く。
すると、事切れたように一人は地面に倒れ込む。
…急所さえ狙ってしまえば、たとえ[彼ら]であっても死ぬ。
ずるりと刀を引き抜いて、もう一人へと狙いを定める。
身動きできない少女を殺そうと刀を振り上げたもう一人を狙うが、距離的に間に合わない。
「きゃあああ――」
少女が叫んだ瞬間に刀を振り上げた手が止まる。心臓部分を見ると刀が刺さっていた。
すぐに刀を抜いてついた血を振り払う。すると地面に血が飛び散った。
「あーあ、残念だな…」
後ろから聞こえてきた声に、私は軽く目を向けた。
「僕ひとりで始末しちゃうつもりだったのに。斎藤君も小羽ちゃんも、こんなときに限って仕事が速いよね」
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