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紅き血の誓い
07
山南さんの口調は優しい声音だったが、少女にとって厳しい現実を静かに語った。

「話さないと言うのは簡単だが、こいつが新選組に義理立てする理由もない」

「約束を破らない保障なんて無いですし、やっぱり解放するのは難しいですよねえ」

二人の言うことはもっともだった。たしかにこの子が新選組に有益になることをするとも思わない。

「ほら、殺しちゃいましょうよ。口封じするならそれが一番じゃないですか」

「そんな……!」

少女が悲鳴じみた声を上げると、近藤さんはたしなめるように総司を見た。

「……総司、物騒なことを言うな。お上の民を無闇に殺して何とする」

総司は笑みを消すと、困ったように目を伏せた。

「そんな顔しないでくださいよ。今のは、ただの冗談ですから」

「……冗談に聞こえる冗談を言え」

兄様の言葉に、総司は照れたような笑みを浮かべる。

「しかし、何とかならんのかね。……まだこんな子供だろう」

「私も何とかしてあげたいとは思いますが、うっかり洩らされでもしたら一大事でしょう?」

山南さんは困ったように眉を寄せると、言葉を区切ってから土方さんを見る。





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