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紅き血の誓い
05
「ま、知られて困ることもねぇよ」

近藤さんは少しの間しょんぼりしていたけれど、気を取り直したように居住まいを正す。

「……さて、本題に入ろう。まずは改めて昨晩の話を聞かせてくれるか」

近藤さんは兄様に視線を向けた。兄様はかしこまった仕草で頷くと、話し始める。

「昨晩、京の都を巡回中に浮浪の浪士と遭遇。相手が刀を抜いたため、斬り合いとなりました。隊士らは浪士を無力化しましたが、その折、彼らが[失敗]した様子を目撃されています」

兄様は少女にちらりと視線を投げた。

「私、何も見てません」

きっぱりと言い切る少女に少しだけ土方さんの表情が和らいだ。

兄様は無表情のままで、総司は笑顔のままだったけれど。

「なあ。おまえ、本当に何も見てないのか?」

「見てません」

「ふーん……。見てないんならいいんだけどさ」

新八さんは何かを思い出したように少女に言った。

「あれ?総司の話では、おまえが隊士どもを助けてくれたって話だったが……」

「ち、違います!」

少女は慌てて総司を見るが、相変わらず感情の読めない笑顔のまま。





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