TOV〜もう一つの物語〜
始まりは下町から
アスピオから飛ばされて2週間。
いつになったら帰ってくるんだ、とかリタが怒ってそうだな…。
そして今日、不幸な日々が始まった。
始まりは下町から
ユーリは窓に腰をかけていて、私とシヴィリアは髪をとかしていた。
その時、誰かが階段をかけのぼってくる音が響いた。
バンッと思いっきりドアが開かれる。
「ユーリ、大変だよ!」
「でかい声出してどうしたんだ、テッド」
「…うるさい」
「さすがに寝起きは機嫌悪いよねー」
私は髪をとかすのをやめて、シヴィリアの後ろに座った。
「シヴィリア、結んであげる」
「ありがとー」
そう言うと私はシヴィリアの髪を結びだす。
そんな二人を見ていたユーリはテッドと窓から水道魔導器を見た。
「水道魔導器がまた壊れちゃったよ!さっき修理してもらったばっかりなのに」
壊れたって…?また…?
「水道魔導器が壊れたの!?それに、修理してもらったって…」
魔導器がすぐに壊れるなんて、そんなことはないはず。酷い使われかたをされてたならわかるけど…。今まで見てきた中では、大切に扱われてた。
「どうしたんだ?」
「普通、魔導器って言うのは簡単には壊れないものなの。修理してもらったなら、すぐに壊れないはず。…あ、でもこの壊れ方って…」
ユーリは私に視線を向けるが、私は気にせずにもうひとつの可能性を思い浮かべた。
「魔核が盗られた!?」
私はシヴィリアの髪を結び終わるのと同時に、立ち上がった。
「どこいくの、ミレイ?」
「ちょっと確認してくる!シヴィリアもついてきて!」
「え?あ、ちょっと…!」
私はシヴィリアの手を掴むと、ユーリの横から飛び降りる。
そのまま水道魔導器の所に走っていった。
「ふぅ…」
水道魔導器の魔核がある所を覗き込む。
「あー!やっぱり!」
「どうしたんじゃ」
横からハンクスじいさんが私に気付いて話しかけてきた。
「えーと、なんでもないよ」
「なんでもなくないだろ、ミレイ」
「ユーリ」
ユーリは水道魔導器の所まで歩いて来ると、私と同じように魔核のあった場所を見た。
「ミレイの言う通りだったな。確かに魔核がない…」
ユーリはハンクスじいさんの所まで歩いていき、何やら話し始めた。
「とりあえず、誰が魔核を盗ったんだろう?」
「わかんない。魔核がなければ魔導器は動かないのに…」
私は考えながらユーリを見ると、階段を上っていく所だった。
…まさか…。
「ユーリ!」
呼びかけると、ユーリは止まって後ろを振り向いた。
「どうした」
「どうした、じゃないでしょ?どこ行くの?」
「ちょっと…な」
そう言って行こうとするユーリを止めた。
「私たちも行く!」
「ったく、騎士と厄介事になっても知らねぇぞ」
「了解ー!」
そう言って三人は貴族街へと歩き出した。
(誰が魔核を?)
(とりあえず、行くぞ!)
2010.12.17(金)
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