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Tales of Vesperia
見つからないように慎重に
村長が頭を下げると、よくわからない、というようにエステルはユーリを見る。

「わ、わたし、今なにを…?」

「…すげえな、エステル。立てるか?」

「…すごい。エステル、大丈夫?」

エステルに手を差し出すと、エステルはにこりと微笑んで私の手を取った。

「ユーリ」

カロルは嬉しそうに手を出すと、ユーリはカロルとハイタッチをした。

その後、ユーリは満開のハルルの樹を見上げる。

「フレンのやつ、戻ってきたら、花が咲いてて、ビックリだろうな。…ざまあみろ」

「ユーリとフレンって不思議な関係ですよね。友達じゃないんです?」

「ただの昔馴染みってだけだよ」

「私にとっては二人とも親友だよ?」

にこりと笑うと、エステルが私の手を握る。

「私たちも親友、ですよね!」

「もちろん!」

「…あれ、ユーリ。もしかして照れてる?」

ユーリを見ると、確かに顔を隠すように額に手を当てている。

「…そんなんじゃねぇよ」

「ユーリ、大丈夫です?熱でもあるんじゃありません?」

「…何でもないから気にするな」

そんなやり取りを見て軽く微笑んでいるミレイは、何かを感じとったのかある方向を睨みつけた。、

「………」

「あの人たち、お城で会った…」

「…ったく、一生森で迷ってりゃいいのに」

「だよねー。あ、でも迷ってるうちに出口までつくっていうのもあるし」

「…私も何回か迷ったことあるけど、いつの間にか目的地に着いてるという…」

ユーリは一度彼らをちらりと見た後、少し小さめの声で言った。

「住民を巻き込むと面倒だ。見つかる前に一旦離れよう」

「え?なになに?どうしたの急に!」

話が見えないらしいカロルはちょっと背伸びぎみで聞いてきた。

「…話は後。さっさとハルルから出るよ」

ミレイはカロルに目で教えると、街の出口向かって歩き出す。

「…エステル、シヴィ、ラピード、カロル。行くぞ」

「あ、はい」

「了ー解。カロル、急がないと置いていかれちゃうぞ」

「えっ?あ、待ってよー!」

歩き出した私たちの後を、よくわかってないカロルが走って追いかける。

追いついたカロルがユーリの隣に行くと、ユーリが拳をあげてカロルの頭を叩いた。

「大声出すな」

「いたっ…!」

「…ドンマイ、少年」

「…何その喋り方」

ふざけて二人で笑っていたら、エステルが急に立ち止まった。

「不謹慎かもしれませんが…。わたし、旅を続けられてすこしだけうれしいです。こんなに自由なこと今までになかったから」

「大げさだな」

「私も嬉しいよ。まだエステルと一緒に旅出来てさ」

そう言うと、エステルは嬉しそうに微笑んだ。

「…そういや、さっき村長さんに聞いたら、フレンは東にある街に行ったって」

私がそう言うと、ミレイは一瞬だけ目を細めた。

「ありがとな。で、カロルはどうすんだ?」

「港の街に出て、トルビキア大陸に渡りたいんだけど…」

「じゃあ、サヨナラか」

「え!?」

そう言われるとは思っていなかったのか、カロルは驚いた声をあげる。

「カロル、ありがとな。楽しかったぜ」

「お気をつけて」

「変な人に連れていかれないようにね!」

「…ばいばーい」

「あ、いや、もうちょっと一緒について行こうかなあ」

カロルのその言葉に、ユーリはおおげさに驚いたように言った。

「なんで?」

「やっぱ、心細いでしょ?ボクがいないとさ」

「ま、カロル先生、意外と頼りになるもんな」

「意外と、ね」

「では、みんなで行きましょう」

エステルがカロルに微笑むと、カロルは目的地を確かめるようにユーリに言った。

「で、東、だっけ?」

「ああ、フレンは」

「はい」

「行き違いにならなきゃいいけど」

「オレはアスピオって街に行きたいんだけど…。とにかく、やつらが来る前にここを出よう」

その言葉に私たちは頷き、再び歩き出す。

ハルルの街から出たのは、空が軽く明るくなり始めた頃だった。

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あきゅろす。
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