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Tales of Vesperia
平原の主
情報収集しようにも、門を通らなくちゃいけない、という情報だけで、一点張りだった。

「騎士の追っ手は…ないか」

「…誰か来た」

ユーリのうしろから女性とボディーガードみたいな男性が近づいてきた。

「ねぇ、あなた。私の下で働かない?報酬は弾むわよ」

女性はお金の入った袋を見せてユーリを誘う。

それを見たユーリは返事をせずに、そっぽを向いた。

ユーリの態度に腹を立てたのか、ボディーガードが言う。

「社長に対して失礼だぞ。返事はどうした」

「名乗りもせずに金で吊るのは失礼って言わないんだな。いや、勉強になったわ」

「いや、見習っちゃ駄目だと思う」

「おまえらっ!」

掴みかかってきそうなボディーガードを女性が制した。

「予想通り面白い子ね。私はギルド『幸福の市場』のカウフマンよ。商売から流通までを仕切らせてもらってるわ」

「ふ〜ん、ギルドね…」

ユーリは独り言のように呟くと、地響きが起きた。

「わ…!地響き…!?」

「私、今、困ってるのよ。この地響きの元凶のせいで」

「あんま想像したくねぇけど、これって魔物の仕業なのか?」

「ええ、平原の主のね」

「「平原の主?」」

さっきの魔物の中心にいた大きな魔物のことかな?

「シヴィリアの察しどうりだよ。あの大群の親玉」

「…世の中、すごいのがいるもんだね…」

「世界は広いからね」

にこりと笑って返された言葉に、私は苦笑を浮かべた。

「どこか別の道から、平原を越えられませんか?先を急いでるんです」

「さあ?平原の主が去るのを、待つしかないんじゃない?」

「焦っても仕方ねえってわけだ」

「待ってなんていられません。私、他の人にも聞いてきます!」

だっと走り出すエステルを見て、ラピードはため息を吐くと、エステルを追いかけて行った。

「流通まで取り仕切ってるのに別の道、ほんとに知らないの?」

「主さえ去れば、あなたを雇って強行突破って作戦はあるけど、協力する気は…なさそうね」

「護衛なら騎士に頼めばいいんじゃ…」

「冗談はやめてよね。私は帝国の市民権を捨てたギルドの人間よ?自分で生きるって決めて帝国から飛び出したのに今更助けてくれはないでしょ」

ギルド、かぁ…。

金はとるけど、騎士団に出来ないことも出来るって、誰かが言ってたっけ。

「当然、騎士団だって、ギルドの護衛なんてしないわ」

「へえ、自分で決めたことにはちゃんと筋を通すんだな」

「そのくらいの根性がなきゃギルドなんてやってらんないわ」

「なら、その根性で平原の主もなんとかしてくれ」

ユーリはそのまま私たちに行くぞ、と言って歩き出そうとする。

すると、カウフマンはため息混じりに話す。

「ここから西、クオイの森に行きなさい。その森を抜ければ、平原の向こうに出られるわ」

「けど、あんたらはそこを通らない。ってことは、何かお楽しみがあるわけだ」

それを聞いたカウフマンはにこりと笑った。

「察しのいい子は好きよ。先行投資を無駄にしない子は、もっと好きだけど」

「礼は言っとくよ」

ユーリは振り向かずに右手をひらひらと振った。

「ありがとな、お姉さん。仕事の話はまた縁があれば」

それだけ言って、私たちはエステルを迎えに行くことにした。


「エステル」

「…ちょっと、休憩です。魔物が去るまでこんな場所で待ったりしませんから」

少し拗ねてるエステルが可愛くてら軽く微笑む。

「あっそ。じゃあ、三人で抜け道を行くことにするわ」

エステルを置いていくように歩き出すユーリを見て、エステルは慌てたように立ち上がる。

「え?わかったんですか?待ってください!」

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あきゅろす。
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