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Tales of Vesperia
閉まった門
門があと、数十センチで閉まるというところで、ユーリがスライディングしてギリギリ間に合った。

「…よかった」

ミレイが安堵してため息を吐く。

ユーリは座ったまま人形を女の子に渡すと、疲れたのかため息を吐いた。

「…お疲れ」

間に合ってよかった、と思いながらユーリに一声かける。

「なんとお礼をすれば…」

「い、いえそんな…」

「怪我を治してもらって本当に助かりました」

「お姉ちゃんたち、ありがとっ!」

「どういたしまして」

にこりと笑った男の子の頭を撫でる。

「じゃあねっ」

「うん。元気でね」

バイバイ、と手を振って男の子たちを見送った。

「わんっ」

「ラピードもお疲れ様」

そう言ってミレイはラピードの頭を撫でた。

「…皆が無事で本当に良かった…」

エステルは安心したのか、その場に座り込んだ。

「あ、あれ…」

「安心した途端それかよ」

「…にしても疲れたー」

エステルの隣に座ると、ミレイもラピードと一緒に座った。

「結界の外って凶暴な魔物が沢山いて、こんなに危険だったんですね」

「あんな大群でこられたら結界がほしくなるな」

「ここに結界魔導器を設置できないんでしょうか?」

「それは無理ね。結界は貴重なものだし」

それを聞いたエステルは軽く俯きしながら言った。

「そうですよね…今の技術では作り出せませんから。魔導器を生み出した古代ゲライオス文明の技術がよみがえればいいのに」

「それがよみがえっても、帝国が民衆のためにってのは想像しにくいな」

つんつん、と軽く服を引っ張られる。

「ミレイ?」

福を引っ張っていたのはミレイだった。

ミレイは黙ってある方向を指差す。

そこには騎士が立っていた。

「そこの4人少し話しを聞かせてもらいたい」

だんだん近づいてくる騎士に苦笑いをしながら、少しずつ後退していく。

すると、ちょうどよく奥から大声が聞こえてきた。

「だから、なぜに通さんのだ!魔物など俺様がこの拳でノックアウトしてやるものを!」

これはチャンス。

ミレイと互いに頷き合うと、エステルの手を掴む。

その動作だけで、ユーリに伝わったようだった。

「…エステル、行くよ」

なるべく小さな声でエステルにそう言うと、軽く頷く。

騎士の注意がその二人に行っている瞬間、気づかれないように離れた。


「あの様子じゃ、門を抜けんのは無理だな」

「そんな…フレンが向かった花の街ハルルはこの先なのに」

「…別の道を探すしかないか…」

「…騎士に捕まるのだけは面倒だから勘弁してくれ」

ため息混じりに言うユーリを見て、平気だよ、と一言言った。

「よし、情報収集といきますか!」

「わんっ!」

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