[通常モード] [URL送信]

Tales of Vesperia
魔物の大群
ハルルに行くために、砦の出口を通ろうとした。

その時。

―カンカンカンッ!

「!」

いきなり警報みたいなのが鳴り響く。

沢山の旅人がデイドン砦へと急いで戻ってくる。

「早く入りなさい!!門が閉まるわ!!」

音を出しながら門が閉まり始めた。

「矢だ、矢を持って来いっ!」
「早く門を閉めろ!!」
「くそっ!やつが来る季節じゃないだろ!」

いそいそと攻撃の準備を始める騎士たち。

門の向こうを見ると、魔物の大群が押し寄せていた。

「あれ、全部魔物なの……?」

「帝都を出て早々にとんでもないもんにあったな。俺、なんか憑いてんのか?」

「ちょ、まだ逃げ遅れた人がいるのに!」

よく見ると、子供がしゃがみ込んでしまっていたり、男性は足をくじいてうずくまっていた。

「…ラピード!」

ミレイが走り出すのと同時に、ラピードに呼びかけた。

すると、ラピードは門を閉めようとする騎士の方へと走り出した。

「ミレイ!」

私もミレイの後を追いかける。

「シヴィ、ミレイ!…ったく」

「ユーリは女の子を!」

そう言って、エステルも男性の方へと駆け寄る。

ユーリは深くため息を吐いてから、女の子の方へと走った。

「大丈夫だからね」

さっき転んだところが痛かったのか、男の子は泣き止まなかった。

「お姉ちゃんが痛いの治してあげる」

そっと手を翳すと素早く術式を組み上げ、発動させる。

すると、痛くなくなったのか、男の子は泣き止むと立ち上がった。

「…痛くない!ありがと、お姉ちゃん!」

「うん。じゃあ、あの青い髪のお姉さんのとこまで走れる?」

ミレイはそう言って私を指差す。

男の子は頷くと、私の方へ走ってきた。

「ミレイも早く!」

私は男の子の手を取ると、砦へと急ぐ。

少ししてミレイがその後を追ってきた。

みんなで砦へと戻ってくると、ユーリが連れてきた女の子がさっきいた方を指差した。

「ママのお人形〜」

「人形?」

指差した所を見ると、確かに人形が落ちていた。

早くしないと魔物に踏み潰されてしまう。

それを見て、エステルが走り出そうとする。

だが、ユーリがエステルの腕を掴み、動きを制した。

「は、はなしてください…!」

「ここで待ってろ!」

「ユーリっ!」

エステルの代わりにユーリが飛び出す。

その直後にまた門が閉まり始めた。

ユーリが人形を拾い上げ、こちらへ走ってくる。

「ちょ、間に合うの?」

「………」

「…シヴィリア?」

黙っている私を見てミレイは首を傾げていた。

私はただ、信じるだけしか出来ないよ。

…ユーリなら、絶対に大丈夫。

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!