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Tales of Vesperia
遠出した小隊長
走り出してまもなく、いい匂いとともに立ち止まった。

「いい匂い…」

「なんでしょう?」

「そういえば、ここ、騎士団の食堂だよね?」

ひとつの大きな扉を見ながらいう。

「ああ。ちょっと入っていくか」

ギイッと扉を開け、中へ入る。そしてそのまま、匂いがするものへとたどり着く。

ユーリが一口食べてみる。

「まあまあだな」

「あ、カレー」

嬉しそうにいうミレイにユーリは自分が使ったスプーンでカレーをすくった。

「食べるか?」

「うん!」

パクッと食べるミレイがなんか可愛かった。

「おいしー」

「ほら、シヴィも」

私もパクッと食べると、女性がびっくりしてこちらを見ていた。

「「?」」

「そ、そろそろ行きましょう。えっと…?」

女性は私たちの名前を聞いてきた。

「私はシヴィリア・ソルファースです」

「私はミレイ・クリスタ。よろしくね」

「あ、はい!よろしくお願いします」

女性は軽くお辞儀したあと、自分の名前を言おうとした。

だか、それは騎士の声に遮られる。

「確かこっちに…」

ちょうど扉の前で声が聞こえる。私たちは声をおさえて様子を見る。

「とにかく探し出せ!」

「はっ!」

バタバタと走る音がしたあと、静かになった。

「とりあえず…行ったかな…?」

ゆっくりと扉を開けると、一人の騎士と目があう。

「………てへ?」

「いた…」

「やっ!」

叫ぼうとした騎士の顔面にパンチを食らわす。ヘルムごしだったのもあり、騎士は気絶してそのまま後ろに倒れた。

「どうした?シヴィ」

「なんでもないよ」

私はにこりと笑って部屋をでた。

ユーリたちも私に続く。

コツンッと女性の足に何かぶつかった。

「きゃ…」

女性が軽く叫ぼうとした瞬間に、ミレイが女性の口を塞ぐ。

「こんなとこで叫んだら見つかっちゃう」

「あ、ごめんなさい…」

女性はドレスの裾を持ち上げ、騎士にあたらないように歩く。

途中で躓いて転びそうになると、ユーリは手を取って支えた。

「あ!フレンの部屋に着いた!」

「え?何処です?」

「あんたが立ってるそこがフレンの部屋だろ……?」

その言葉を聞くと、女性は納得したように頷いた。

ギイッと音をたてて開かれる扉。

ゆっくりと部屋を見渡す。

部屋の中は暗く、月明かりが窓から入ってくる。そして、片付いている部屋から連想すること。

「こんなに片付いてると、どっかに遠出してる可能性があるね…」

「そんな…間に合わなかった」

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あきゅろす。
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