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天使の梯子をのぼったら
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 確かにクラスでの甲斐の行動でおかしな所はひとつもない。
 多分この違和感を感じているのは、俺だけだろう。
 それを何と説明すれば良いのかわからない。

「綺麗な青空だねぇ、飛びたったら気持ちよさそうだ。そう思わない? 穂稀」

 おい。
 人の返事を待たずして、何が始まったんだ?





 からっぽになったランチボックスを確認した甲斐は、一足先に教室に戻った──はずだった。

「あれ? 甲斐……は?」

「帰ったけど」

 しれっと返してくる折沢に「帰った?」と変な聞き返しをしてしまった。

「あ。そうそう、糸川あてに甲斐ちゃんから手紙預かってたんだわ」

 この端末全盛期に手紙とは、レトロな。
 それよりさっきまで一緒にいたんだから、言いたいことがあるならその時言えば良いのに。

 そんなことを思いながら、手渡された手紙とやらを開いて、そのまま消えたくなった。

『穂稀へ
所用ができました。名残惜しいのですが、今日は先に帰ります。
愛をこめて。
カイル』

「…………」

 毎日午後から早退できる所用って何?
『愛をこめて』? ……愛?
 カイル?って誰?
 おまえの名前、甲斐じゃねえのかよ、ブレブレじゃんかよ……。

「糸川? どした、おまえ顔白いよ?」

 その上、読み終わった手紙は塵になって消えた。

「……お祓い、行くべきかも」

 もう嫌、この訳の分からなさ。
 俺も帰りてえ!











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あきゅろす。
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