天使の梯子をのぼったら ページ:7 視界には一面の青空と、長いまつげを伏せた甲斐の顔。 足元は空の上という不安定な場所で、絶対逃げられない。 ずるい! こんな場所で不意打ちみたいに、いきなり…… 舌先で下唇を撫でて、甲斐は目を開けた。 「ふふ、甘い。真っ赤。可愛い穂稀」 「……っ!っ!……」 前言撤回。 天使は天使でも、こいつのそばは危険極まりない! さっき『物事には順序がある』とか言ってただろうが!? 「僕の名前はカイル……穂稀が生まれた時から、守護している者、と言えばいいかな。だから穂稀は、僕から離れることはできないんだよ」 「守護霊とか守護神とか、本人の前に出てきちゃいけないんじゃないの……まして好きとか、アリ?」 「あれ? けっこう知ってるね?」 なんか一言で誤魔化された気もする。 「そういうわけで、僕は今後も穂稀から離れることはないから。そういうことでよろしく」 よろしく、って……。 俺の選択権はもう死んでいるんだろうか。 [*前へ] [戻る] |