それは暇潰しから始まった 1 転校初日のことだ。 高校2年生が始まったその日帰り際、俺はとんでもないことを言われた。 「おい、お前宮本裕一だよな。お前にお願いがあるんだけど」 お願い、というわりには高圧的な態度だった。 玄関で靴を履こうとしていた俺は、声のするほうへ顔を向ける。 ……ああ、こいつ確か。 同じクラスの……名前は分からないけれど、顔はよく覚えている。 目立っていた。 くっきりとした二重に長いまつ毛、すっと通った鼻筋、発色のいい赤い唇、それがよく栄える白い肌。 今日初めてみた顔だが、よく覚えている。綺麗な顔だな、と思ったからかもしれない。 そんな奴が一体俺に何を。 何も言わずに俺が見つめていたからか、男は痺れをきらしたように話し出した。 「あのさ、俺と付き合ってほしいんだよね」 [次へ#] [戻る] |