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分断された海の片隅で:隻眼ヲ級の証言/Emily's Report ZERO若しくは序章
対話を、知る事を阻む者
2###/##/##:執務室・沿岸B鎮守府・沿岸部・日本


 (おい、砲雷撃戦しろよ。)

 その男性、沿岸B提督は両肘を執務用の机に突きながら遥か領海線付近で臨検に臨もうとしている自身の艦娘達に声にする事無く毒づいていた。

 (こちとら仲良しこよしごっこなんか望んじゃいねーんだよ、つっかえねーなー。)

 この男は艦娘と深海棲艦の戦いに職業軍人や軍属としての使命感を持っている訳では無い。
 そして深海棲艦に大切な何かを奪われた事とその事による復讐心とも無縁だった。
 積年の鬱憤を晴らし、自らに酔いたいが為の手段。
 沿岸B提督にとって深海棲艦との戦いはその程度の事であった。

 「おい、お前らいいから殺れ。」

 故に通信機の向こう、遥か日本領海線付近の自身の配下の艦娘の状況や判断・心情を無視した命令を下す。
 当然通信機を介して配下の艦娘、隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)からの抗議を受ける。

 「あ?」

 その抗議に沿岸B提督は不愉快さに眉をひそめる。

 「罠かも知れないだろ、いいから殺れよ、提督命令だ。」

 沿岸B提督は舌打ちしながらもっともらしい(屁)理屈を付けて隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)の抗議を退け、詳細不明の深海棲艦、即ちエミリー達への攻撃命令を下す。
 身も蓋も無い話、最初から沈める算段だったのだから。

 「もう一度だけ言う、殺れ。」

 沿岸B提督は一言通信機に向かってそう告げると通信機のスイッチを切る。

 (やっぱ人間艦娘はダメだな。)

 通信機、引いては通信機の向こう側の三人の人間艦娘達に向けて見下す様な笑みを浮かべながら声に出す事こそしなかった物の、そう吐き捨てた。

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あきゅろす。
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